糖尿病と目の病気 ―「かすむ」「見えにくい」症状は危険信号
進行するとどうなる?
糖尿病網膜症は進行段階によって症状や治療法が異なります。
・単純網膜症(初期):細い血管に小さな出血や膨らみができる
・増殖前網膜症(中期):血管閉塞が広がり、酸素不足の部分が増える
・増殖網膜症(末期):新生血管が発生し、硝子体出血や網膜剥離を引き起こす
末期になると手術(硝子体手術)が必要ですが、視力回復は難しくなります。
予防と早期発見のために
1. 定期的な眼底検査
糖尿病と診断されたら年1回以上の眼底検査が推奨されます。
眼底検査は、瞳の奥を直接観察して網膜や血管の状態を確認できる唯一の方法です。
池尻大橋せらクリニックでは、眼科以外ではあまり導入されていない高精度な眼底カメラを院内に設置し、診察と同日に評価できます。これにより、眼科受診に行く時間が取れない方でも、合併症の早期発見が可能です。
2. 血糖・血圧・脂質の管理
網膜症は高血糖だけでなく、高血圧や脂質異常でも進行します。
生活習慣改善と薬物療法を組み合わせてコントロールすることが重要です。
3. 運動療法
適切な運動は血糖コントロールを改善し、血流を良くします。
当院では糖尿病専門医と運動指導スタッフが連携し、安全で効果的な運動プログラムを提案します。
早めに受診すべき症状
・視界がかすむ
・物がゆがんで見える
・視野に黒い点や糸くずのような影(飛蚊症)が見える
・急に視力が落ちた
これらの症状がある場合は、放置せずすぐに検査を受けてください。
まとめ
糖尿病による目の病気は、初期には症状が出ないため、気づいたときには進行しているケースが少なくありません。
「目がかすむ」という症状は、そのサインである可能性が高く、早期受診が何より重要です。
[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。






