立浪ドラゴンズの3年は何だったのか ひとつのフェーズの終わりを告げて

タグ: , , , , 2024/9/19

■積極的な血の入れ替え
 師匠筋にあたる星野仙一氏ほどではないにしろ、血の入れ替えは積極的に行った。最初の2年間でトレードを6件成立させ、最後のシーズンは中堅〜ベテランの野手を大量に獲得。最下位が続くチームをなんとか変えようと、人事の面で激しい動きを見せた。

 衝撃的だったのは1年目オフの二遊間解体。二塁手の阿部寿樹を涌井秀章との交換で楽天へ、遊撃手の京田陽太を砂田毅樹との交換でDeNAへ放出。2年目以降は自ら視察して獲った新人や若手、経験の浅い外国人を積極的に起用した。今季は村松開人が遊撃手として奮闘したが、この部分はまだまだ飛躍させる途中だったのではと推察する。

 他方、互いにWIN-WINになるトレードもあった。代表的なのは日本ハムと2023年6月に行った「郡司裕也、山本拓実↔︎宇佐見真吾、齋藤綱記」の交換トレード。宇佐見は主戦捕手の1人となり、齋藤は左の中継ぎとして開花。対する郡司は移籍先で初の規定打席&球宴出場を果たし、山本もブルペン陣の一員に加わっている。

 最終年となった今季は巨人から中田翔を呼び寄せ、4番に据える構想をぶち上げた。開幕直後は上手く回って一時は単独首位に立ったものの、故障渦により中田は度々リタイア。ダヤン・ビシエドも最後は半ば見限られる形で、リーグを代表する一塁手の共存を成立させられなかった。

■後任はあらゆる可能性を探るべき
 森繁和監督、与田監督と自他ともに認める「つなぎの政権」が2代続いたのち、満を持して「切り札」の就任だった立浪監督。明らかにフロントのバックアップの力の入れ具合が違っていたし、良くも悪くもファンの盛り上がりは凄まじいものがあった。3年目も最下位争いをしている時点で今季限りというのは既定路線だったと思うが、いざ退任が決まると心にぽっかり穴が開く感じがする。

 選手時代の実績において、立浪監督の右に出る者はそうそういない。もう、「選手時代の実績」や「顔の広さ・大きさ」で監督を決めるフェーズは終わらせたほうが良い。加藤宏幸球団本部長によると、後任は10月6日のシーズン最終戦までに目処を立たせるとのことだが、拙速に決めるのではなく、あらゆる可能性を探った上で決めてもらいたい。そうしないと、球団史上に残る大低迷を脱することはできないはずだ。





[文:尾張はじめ]

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