「GoTo」実施なら夏の甲子園も開催できた…高校野球ファン怒りの声
末代まで語り継がれる「愚策」と呼んでいいでしょう。
安倍政権が7月22日にスタートさせた観光需要喚起策「GoToトラベルキャンペーン」のことです。旅行代金の半額相当を国が支援することで、コロナ禍での業績悪化に苦しむ観光業を救済しようとする事業。しかし、実施まで1週間を切った7月16日には「東京外し」が決まり、始まった途端に新型コロナの感染者が急増するなど、無茶苦茶な状況を生んでいるのは見ての通りです。
一般紙の政治担当記者は内幕をこう語ります。
「GoToに破格の予算をつけたのは観光業界に大きな影響力を有する菅官房長官と、自民党の二階幹事長です。本来なら感染拡大を防ぐために血税を投入しなきゃいけないのに、大物二人の利権のために莫大な税金が無駄遣いされている。『今じゃないでしょ』との声は与党議員からも聞こえてきます」
首都圏ほど医療体制が整っていない地方へと、都会から人が移動しまくり、感染が拡大してしまえば、そのエリアは経済的に壊滅的なダメージを食らいます。それでも目先のカネを重視するためにゴリ押しされた今回の政策に、人々の怒りが沸点に達するのは当然のことです。
そんな中、「GoTo」強行に怒りの声を挙げる人々がいます。高校野球マニアの面々です。昨年まで、夏の甲子園観戦は「皆勤賞」だった都内在住の40代男性はこのように異議を唱えます。
「今年の夏の甲子園は中止となり、代わりに『夏の選抜大会』として、3月の選抜大会に出場予定だった高校が甲子園に集い、ワンマッチの特別試合を戦います。しかし、これは『負けたら終わり』という本来の甲子園大会ではありません。夏の甲子園が中止になった理由を覚えていますか」
そして、憤りながら続けてこう言うのです。
「高野連は『甲子園大会は全国から人が集まり、移動することで感染拡大のリスクがある』と説明していたじゃないですか。僕らも『それじゃ仕方ない』と一度は納得しましたよ。それが何ですか。同じ時期に、安倍政権が『どんどん移動しましょう』というキャンペーンを多額の予算をかけて行っているのです。夢をあきらめた高校球児にどう説明するつもりですか」
確かに6月19日にはプロ野球も開幕し、感染予防へと細心の注意を払いながら、上限5000人の観客を入れて連日、熱戦を展開しています。高校野球でも原則無観客ながら全国各地の「代替大会」が盛り上がっています。