「お茶は黒いコップで飲まない」元横綱白鵬関が五感を研ぎ澄ませる意味とは⁉ 元横綱白鵬の専属トレーナー・大庭大業氏インタビュー
ソフトバンクやオリックスで活躍した元プロ野球選手の馬原孝浩のサポート、他にもプロゴルファーや格闘家など多くのアスリートをサポートした実績を持つ、スポーツトレーナーの大庭大業(おおば・ともなり)氏。同氏は専属トレーナーとして元横綱・白鵬関(現・間垣親方)を2012年から9年間支え続けた。
そんな大庭氏に今回「CoCoKARAnext」で独占インタビューを実施。9年間サポートした元横綱白鵬関の凄さについて聞いた。
「やっぱり五感ですよね。四股を踏んでいる音が今日は良いなとか言うんです。それくらい色々、身の回りで起きている変化に対して敏感ですよね」
と、自身の感覚を研ぎ澄ませる事を意識していたと明かした。これについては、同氏が著した「白鵬の脳内理論」の中でも五感と自然のパワーを取り込む方法について詳しく触れられている。
たとえば、稽古中の擦り足の音、お茶の色を知るために黒いコップでお茶を飲まない、自分の汗を舐めて体調を確認する、朝日を浴びるなど様々な五感を重視した様子が描かれている。
「白鵬関のやっていたことはみんな実践できる事が多くて、毎日朝日を浴びて深呼吸するとかは、コロナ禍でマスクをしてるから、深呼吸ってする事ないじゃないですか。それをするだけで体にスイッチが入る。その質がひとつひとつ高く、やり続けてるのは凄いですよね」
と、白鵬関の取り組みの質の高さに触れながらも、誰にでも出来るようなことだと語り、今の時代にも必要とされるような考え方だという。
自分自身の感覚を極限まで研ぎ澄まし、意識を高くもっていた白鵬関でさえ、度重なる怪我には苦しめられた。晩年は怪我を繰り返し、手術も4回行った。そんな白鵬関を思い、
「それでも戦い続けた原動力は、相撲が好きだと言うことと、勝つ喜びを誰よりも知っていた事。彼は横綱として勝つことの大切さを知っている。最後の名古屋場所は、周りの人達に喜ぶ顔を見せたいと思ってましたから。怪我やコロナを繰り返すと、周りの支えてくれる方々の尊さに気づいて、周りを喜ばせたいという思いを持っていました」
結果的に最後の場所となった2021年7月の名古屋場所では死力をふり絞って全勝優勝を決めた。満身創痍の体ながら土俵に懸命に向かう姿勢が多くの人々の感動を生んだ。