「羽生スケートのルーツ」への想いとボロボロの足首
強行出場の代償は、どれだけ大きいのか。
フィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が出場権を得ていたGPファイナル(12月6日・カナダ)を欠場することが決まった。
11月17日のロシア杯フリー当日の公式練習で右足首を負傷。3週間の患部安静固定、その後のリハビリに約1カ月の診断を受けていた。12月21日に開幕する全日本選手権(大阪)の出場も絶望的だ。
全日本選手権は来年3月の世界選手権(埼玉)最終選考会を兼ねるため、代表入りを目指すには出場が必須だが、日本スケート連盟の規定には「過去世界選手権3位以内に入賞した実績のある選手についてはケガなどやむを得ない理由で全日本に出場できなかった場合、選考基準に照らし、世界選手権での状態を見通しつつ選考する」とある。
羽生にはインフルエンザで欠場した16年シーズン、右足首を負傷した17年シーズンで、この規定が適用されてきた。
伊東秀仁フィギュア委員長は「今季は世界選手権が日本であるので、そこを目指して頑張ってもらいたい」と今回も羽生を完全バックアップする構え。特例が3年連続で適用されれば異例のことだが、五輪を連覇した絶対王者以上に「実績」のある人はいない。異論はないだろう。
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特例に異論はないが、問題は別のところに…
問題は、ケガの深刻さだ。
昨年11月に右足首の靱帯(じんたい)を損傷。故障後、ぶっつけ本番となった18年2月の平昌五輪では男子66年ぶりの連覇を達成した。見事な復活劇で日本中を熱狂させ、国民栄誉賞を受賞した。
続く今シーズン、不安を感じさせない演技を見せていたが、2戦目ロシア杯で古傷を再発。ケガが悪化するリスクもわかっていながら、なぜフリーを強行したのか。
「僕はこの大会に出るのが4回目。初めて来たときはシニアに上がったシーズンで、僕のスケートのルーツはロシアにある。そういった意味でも、ここで良い演技をしたい気持ちが強かった」