「僕って昔と変わりましたよね」――背番号129からの再出発 阪神の高橋遥人が掴んだ復活への手応え

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忘れられない坂本勇人からの奪三振

 そんな決意が表れたのが、年が明けた11日に見せた“投球”だった。鳴尾浜球場のブルペンに入った背番号129は、捕手を座らせて直球のみで25球。設置されていたトラックマンでは最速143キロを計測したといい、「年末も3、4回(捕手を)座らせて投げて、それよりも今日の方が良くなっている。停滞している感じもない」と確かな手応えを語った。投球を視察した江草仁貴2軍投手コーチも「めちゃめちゃ良かった。あの感じだったら(2月の実戦復帰も)いけると思います」と順調な経過を喜んだ。

 現状のままであれば、打者への投球は2月上旬に予定し、シーズン途中の戦列復帰を目指す。今オフから背番号3桁の育成契約に切り替わり、「今年やらないと終わる」と位置づける大事な1年。それでも高橋に焦りは全くない。「流れに身を任せて。あんまり目標とかは決めてないです」。層の厚い1軍の先発ローテーションに食い込むことよりも、まずは21年を最後に遠ざかる実戦のマウンドに戻ってくることに主眼を置く。

 首脳陣、同僚、ファン――。高橋遥人という男の帰りをこれほど多くの人が待つのも、その潜在能力の高さ、圧倒的なパフォーマンスを知っているからだろう。だからこそ、過去2年間未勝利の左腕が万全の状態で戦列に戻ることはタイガースにとってこれ以上ない大きな“補強”。連覇への隠れたピースであるとも言える。

 プライベートでは今オフに同じ静岡県出身の一般女性との結婚も発表。「一緒に住み始めてすぐに手術(22年のトミージョン手術)もした。1軍どころか、まだ試合で投げたこともない。まずは試合で投げるところを見せたい」と一家の大黒柱としての意地もにじむ。

 今でも忘れられないのが、21年9月25日のジャイアンツ戦。坂本勇人に尻餅をつかせて奪った三振だ。この時の高橋に伝統の一戦で敵軍の中心選手をねじ伏せる姿に「猛虎のエース」の称号を重ね合わせた人も少なくないだろう。

 野球人生の大きな1ページとなりそうな1年。“最後の故障”との戦いを終えた時、それが高橋にとって復活の号砲になる。





[取材・文:チャリコ遠藤]

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