時間を要した1軍での“復活” 「強く投げられない」と悩んだ怪腕・高橋遥人が歩んだ一進一退の日々に何があったのか【阪神】

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幾度となく跳ね返されては立ち上がってきた高橋。そんな怪腕は過酷なリハビリ生活といかに向き合ってきたのか(C)Getty Images

「2月投げて、3月投げて、4月投げて全然ダメで……」

 2年ぶりのリーグ優勝へ“ラストピース”が加わった瞬間だった。7月27日のDeNA戦で左手首の手術から復帰を果たした阪神の高橋遥人が317日ぶりの白星を手にした。度重なる故障からカムバックを果たしてきた左腕が「もう最後にしたい」と口にした“復活”という肩書き。29歳は進化した姿で甲子園のマウンドに戻ってきた。

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「勝てたのは本当に嬉しいし、いろんな人の協力があって勝ててるので。今日の試合も野手が打ってくれて……」

 謙虚な姿勢と言葉は入団以来変わらない。変化があるとすれば、年齢を重ね、もう「若手」と呼ばれなくなったことだろう。気づけば、プロ8年目となった高橋も結果で示さないといけない中堅という立場にある。だからこそ、危機感や決して平坦ではなかったこの日までの歩みの中で焦りもあった。

 昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を行って左手首に埋まっていたプレートを除去。制限のあった手首の可動域が広がり、「プレートがある時よりもっと良くなる」という期待感が本人にもあった。

 春先までは順調だった。沖縄での春季キャンプではブルペン投球を再開し、実戦登板を見据えてステップアップしていく準備が整ったように見えた。だが、そこからは一進一退の日々が続いた。投げた翌日に左手首がパンパンに腫れ上がることがほとんどとなり、リハビリは小休止を余儀なくされた。

「2月投げて、3月投げて、4月投げて全然ダメで……。やっぱりはね返されて。痛みはないけど強く投げられない。強く投げるとボールが抜けて飛んでいっちゃって投げ方もハチャメチャになって」

 その時点で手術から半年が経過しており、「プレートが入っていた方が投げられたんじゃないか」と疑心暗鬼にもなった。

 心は折れかかった。だが、高橋はここで“方向変換”を決意する。向かった先はウエートルームだった。「最初は屋外でのことを忘れる感じでウエートをしていました」と思うように投げられない状態で行っていた屋外でのキャッチボールの時間は、理想と現実のギャップに苦しんでしまう。最初は気を紛らわすように始めたウエートトレーニングだった。

 ただ、意図もちゃんとあった。

「球速ですね。球速が出ている人は身体が大きい人と足が速い人。走ることはもう(昨年までに)やっていたので、次はウエート。『こいつ手術して速くなって帰ってきたやん』って思われたらちょっと面白いなと」

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