「陵南・仙道」ばりのバスケ男 比江島に付いた技の名前
「自分の名が冠された技」を持つアスリートが集中力を発揮する時
「日本人で一番NBAに近い男」と言われ、NBAファンの間でも一目置かれている日本バスケットボール界のエース、比江島慎。平日は日本代表でプレー、週末はBリーグでプレーと、二つのチームで活躍を続けている彼は、日々肉体的にも精神的にもギリギリのところで戦っている。
比江島はスポーツ界でも滅多に存在しない、自らの名前が入った技を持っている選手の一人である。
その一つが「比江島ステップ」だ。幼いころから自分はスピードのある方ではないと分かっていたため、「どうにかしないと」という思いで生まれたのがこのステップだという。自らの独特のステップで子供のころから果敢に相手に一対一の勝負を挑んできた。
そして、もう一つ、「比江島タイム」がある。「普段はやる時とやらない時の差が激しい」と自らを語る比江島だが、そんな彼が集中すると自分でも誰にも止められない瞬間がこの「比江島タイム」だ。
「やらなきゃいけないとなった時の集中力はある方だと思うし、集中した時の自分には自信がある」という。その言葉通り、試合終盤の勝負所で凄まじい集中力とパフォーマンスを発揮し、気が付くと得点ボードの数字が大量に増えている。ディフェンス面では「やられた!」と思った瞬間に凄まじいシュートブロックを入れるのだ。
「スラムダンク」陵南・仙道ばりの集中力の源
漫画「スラムダンク」に例えると陵南高校のエース・仙道彰だろうか。強敵との対戦やピンチに追い込まれるととんでもない集中力を発揮する天才プレイヤーだ。
この集中力とパフォーマンスの発揮は、幼少期からの各ステージでプレーした常勝軍団での【高いレベルでの修羅場】を数々経験してきた事とは無縁ではないだろう。それについて比江島はこう話している。
「それは関係あると思います。他の選手に比べたら、普通できないような経験も多くさせていただきました。苦しい展開や修羅場を経験したこと、そしてその中で上手くいった経験もしているというのは強いのかな、と思います。」
今後Bリーグでの優勝、W杯、オリンピックなど更なる高みを目指す比江島。自らの名前が付いた二つの技と並外れた集中力で日本にとどまらず世界での活躍を期待したい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
比江島 慎(ひえじま・まこと)
1990年8月11日生まれ、福岡県出身。190㎝/88kg。福岡市立百道中学、京都・洛南高校を経て青山学院大学。青学大では2年連続インカレ制覇を達成し、2013年からアイシン三河(現・シーホース三河)へ入団。切れのあるドライブを武器にルーキーイヤーから活躍。2015年のリーグ制覇に貢献。Bリーグ初年度の昨年は、セミファイナルの延長戦残り30秒からの逆転負けを喫し、今シーズンは雪辱に燃える。日本代表でもエースとして活躍中。