異端球児に厳しい甲子園…1球ごとに打席を変える「幻惑スイッチ打法」は受け入れられるか
第104回全国高校野球選手権大会が6日から甲子園で開幕する。大本命の大阪桐蔭が春夏連覇を果たすのか、あるいは昨夏優勝の智弁和歌山がV2なるか。優勝予想が盛り上がるなか、大会の見どころは何も「王道」ばかりではない。佐賀県代表・有田工の珍プレーが甲子園でも見られるのか、ファンの間で注目されている。
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地方予選の佐賀大会で、1球ごとに打席を変えるスイッチヒッター山口洸生内野手(3年)の姿が、ネット上で大きな話題となった。準決勝の東明館戦で、山口は右→左→右→左→右と投手が投げ終わるたび、主審の後ろを即座に回って打席をスイッチ。打席では捕手と同じくらい極端に低くバットを構え、バントのジェスチャーも入れて投手を揺さぶった。5球目に死球を受けるとガッツポーズで出塁した。
通常なら、スイッチヒッターは投手の左右に合わせて、1打席ごとに右打ちか、左打ちかを選択する。打席の途中で変えることもまれにあるが、「1球ずつ交互に打席を変える」のは異例中の異例。動画は米メディアでも取り上げられ、世界中に拡散された。一方で「四球狙いで卑怯(ひきょう)」「相手投手に失礼」などと批判の声もあがった。
パフォーマンスにも見えるが、有田工の梅崎監督は「本人がなんとか出塁したいとやっている。相手によっては投げにくく感じるピッチャーもいると思う。自分の役割を考えている」と背中を押す。投手を攻略するために何ができるか、公立校の選手が必死に考えた結果。山口以外の選手も戦術として取り入れている。