サッカー日本代表、パリ五輪の勝算は? 曲者揃いのグループDを勝ち抜くポイントを考察
五輪のメンバー枠は18人。OAも含めた熾烈なサバイバルに生き残るのは誰だろうか(C)Getty Images
U-23アジアカップの優勝と共に、パリ五輪行きの切符を手にした日本五輪代表。グループステージはD組に入り、パラグアイ、マリ、イスラエルと同組になった。
この組にいわゆる「強豪国」は見当たらない。FIFAランキングはパラグアイが56位、マリが44位、イスラエルが78位であり、日本の18位が最高位となる。世間的には「いけるんじゃない?」と思われそうな組だ。
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ところが、ここは揃いも揃って曲者ばかり。パラグアイは直近3大会連続でワールドカップ出場を逃すなど、低迷期を過ごしているが、アテネ五輪以来20年ぶりの出場を決めた、今回のU-23世代はひと味違う。南米予選ではブラジルを1-0で下し、アルゼンチンとは3-3で引き分け、南米1位で五輪出場を決めた。リオ&東京と、五輪2連覇中のブラジルを予選敗退に追い込んだパラグアイは、D組で頭一つ抜けた存在と見られる。
イスラエルも欧州予選でドイツを敗退に追い込み、その後は組分けに恵まれた感もあったが、優勝したイングランドの五輪不参加により、ベスト4で五輪出場を決めた。また、昨年のU-20ワールドカップでは日本と同組だったが、最終戦は一人少なくなった状況にもかかわらず、2-1の逆転勝利で日本を沈めた、粘り強いチームだった。今回もグループステージ3戦目でイスラエルと戦うことになったのは、何の因果か、宿命か。
マリは情報の少なさ故に、この組では少し劣る存在と見られがちだが、日本は幸いと言うべきか、今年3月の親善試合で対戦しており、結果は1-3と、内容を含めて叩きのめされている。侮りがちなマリの強さを、肌で経験したことはプラスだが、技術、戦術、フィジカルを兼ね備えた難敵であることは間違いない。
この名もなき曲者揃いのD組を、日本はどう勝ち抜くべきか。
カタールワールドカップのスペイン戦やドイツ戦に見られたように、強豪国は自分たちの長所を押して来るため、日本はその弱点を分析し、隙を突こうと対抗策を考える立場になる。だが、おそらく今回は逆だ。相手チーム側が日本の長所を消し、弱点を突こうとゲームプランを考える傾向が強くなるはず。
昨今、海外から判を押したように言われる日本の長所は「スピード」だ。U-23アジアカップ決勝のウズベキスタン戦では高井幸大のボール奪取から、藤田譲瑠チマと荒木遼太郎の目にも止まらぬコンビネーションが生まれ、最後は山田楓喜が強烈なシュートを叩き込んだ。準決勝のイラク戦も細谷真大の一発の裏抜けから先制し、2点目も大畑歩夢のカウンタープレスから鋭いコンビネーションで荒木が決めた。当然、先に出場を決めていたパラグアイ、マリ、イスラエルらは、こうした日本の強み、特にトランジション時に発揮されるスピードへの警戒を強めているだろう。