「木浪さんを僕は全く疑っていない」――失策に肩を落とす木浪聖也を支えた“利他の心” 阪神の超秀才助っ人に惹かれる理由

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マクロ的視点で同僚の心中を慎重に察しながら――

 日本でのここまでの安定した投球を見れば、決して口だけでないことが分かる。

 学生時代に社会奉仕活動に注力していたように、デュプランティエから「利他の心」を感じたのが、4月19日の広島戦。来日2度目の先発となったマウンドは、2回に遊撃手を務めた木浪聖也の2失策などが絡んで3失点。この失点が響いて来日初黒星を喫した。

 試合後に筆者が目にしたのは、デュプランティエが木浪に歩み寄って言葉をかける姿。翌日、何を話していたのか聞くと、言葉を選び、思考を巡らせながらあの日のやり取りを明かした。

「誰にでも、物事がうまくいかない日はある。自分にもそういう日はあるしね。その中で何とかやっていかなくてはいけないし、この世界、このスポーツは本当にタフで難しい。必要か必要じゃないかで言うと必要ないかもしれないけど、自分がその立場だったら誰か励ましてくれる人がいたら大きいと思うので、木浪さんにも声をかけさせてもらった」

 声をかけることが迷惑にならないか、本人の気に障らないか……。マクロ的視点で同僚の心中を慎重に察しながら、何か手助けできるならと2人で会話する時間を作った。その上で、同い歳の遊撃手への変わらぬ信頼も伝えた。

「木浪さんが素晴らしいショートストップだと信じているし僕は全く疑っていない。次、投げる時も木浪さんのところにボールを打たせると考えて信じている」

 かつてはメジャーリーグの若手有望株ランキングで上位に名を連ねたトッププロスペクトでもあった。だが、世界最高峰とされる舞台での挑戦は苦戦の連続。思うような結果が出せず、マイナー暮らしも長かった。そのキャリアは壁にぶつかる経験も多かったはずで、木浪に贈った言葉は自身にも言い聞かせているように感じた。

 まだ来日して数か月だが、ここまで素晴らしい人間性と性格が垣間見える助っ人も珍しい。開幕ローテーション入りしここまで3試合に登板して0勝1敗ながら防御率1.69、中でも奪三振率は14.09とアメリカでも発揮してきた“奪三振マシーン”っぷりを見せつけている。

「デュープ(愛称)に初勝利を」――。これは、阪神ナインの間で一致する合言葉だろう。超優等生の新助っ人が白星を手にすれば、チーム力はさらに上がっていきそうな気がしている。

[取材・文:遠藤礼]

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