【現地発】ワールドカップまで1年――。メガクラブ移籍か、絶対的地位の確立か。三笘薫は何を求めるか「もちろんそれは1つの目標」
バイエルン移籍報道なども出ている三笘。そうした喧騒にクラブ関係者も黙ってはいなかった。(C)Getty Images
三笘の引き留めは「支障をもたらす可能性もある」
思い出されるのが、最終節から1週間前の出来事である。
三笘が途中出場から自身のゴールを含む2得点に絡む活躍を見せた第37節のリバプール戦後、スタジアムからブライトン市街地へと戻る満員電車の中のことだった。筆者の後ろに立っていた、酒に酔って少し頬を赤らめた初老のサポーターが「日本から来ているのかい? 私は昨年日本を訪れたよ。とても良い国だ」と、話しかけてきた。
筆者は面倒だなと思いつつも、「ミトマは移籍すると思いますか?」と聞いてみた。すると男性は「カオルは絶対に残るはずだ!」と豪語。しかし、それも束の間、「でももしブライトンを出ることになっても、それは致し方ない。我々にはCL出場の可能性がなくなり、カオルはCLでプレーすべきレベルの選手だから……」と急激にトーンダウンしていった。
そして、三笘の移籍に関する噂話が再び熱を帯びた状況で迎えた、敵地でのトッテナムとの最終戦前。スパーズ(トッテナムの愛称)の番記者と談笑している最中にも「ミトマはどこのクラブに行くんだい?」と質問された。試合後には、懇意にしているブライトンの番記者で、自身もブライトン・ファンという彼に「残念だが、これが(三笘を見る)最後の試合になるのかな?」と、悲しげな顔で問いかけられた。
さらに加えれば、ブライトンの関係者と世間話を交わした際にも、こう語っていた。
「もちろん、カオルはチームで重要な存在だから、(上層部は)引き留められるのであれば、引き留めたいのは間違いないはずだ。ただ、このクラブのビジネスモデルを考えても、出ていきたい選手を引き留めることはできない。
これまでの成功例を見ても分かるとおり、若い選手を獲得して成長させていくのがブライトンのやり方であり、無理に止めるようなことをしたら、今後に若い選手をチームに連れてくる際に支障をもたらす可能性もある。もしかしたら、(7年間クラブに在籍し、33歳でドルトムントに移籍した)パスカル・グロスのような展開もあるかもしれないから、それに期待したいけど(笑)」
ブライトンに関わる誰もが認めたくない事実である一方、現地にいる関係者はもちろん、ファンでさえも、三笘が今夏中にバイエルンやアーセナルといったCLへの出場権を持つヨーロッパの有力クラブへ移籍するのが「既定路線だ」と考えている。






