【DeNA】元ドラ1が4年で掴んだ初勝利 「世代No1」だった小園健太に“2軍の恩師”が説いた“1勝の価値”「俺、1軍で勝てたんだ――」
4年前に三浦監督と2ショットに応じた小園。その表情にはあどけなさも残っている。(C)産経新聞社
厳しく説かれた、制球の甘さ
5回(87球)を投げ、被安打3、与四球4、奪三振4、自責点3でのプロ初勝利。入団以来、何かと目にかけてきた三浦監督も「すべての経験があるからこそ、いまああいうボールが投げられる。2回以降はランナーを出しながらもゲームはしっかりと作れたと思います」とプロ入り以来の小園の軌跡を回想しつつ、「今日は1つ目の白星。また積み上げていってくれればいいですね」と“後継者”の成長を願った。
「初回にやって3点取られましたけど、そこからバタバタと引っ張られることなく2回、3回、4回、5回投げれたのは、良かったかなってところですね。その先を見ずに1ニング1イニングを積み重ねって話を事前のミーティングでしたので、結果5回までいってくれたので良かったかなと思います」
そう評価した小杉陽太投手コーチは、「三振取りたいところでしっかり三振も取れましたし、粘り強く色んな球種使いながら散りばめながら投げてくれたので」と内容面にもフォーカス。「特にスライダーがスイーパーみたいな変化をしてるんですけど、途中からそれを入れながら、すごくいい組み立て方してくれた」と相手打線や自身の調子などを加味したボールの選択も功を奏したと分析した。
そのうえで大きく2つの課題を指摘する。とりわけ厳しく説いたのは、制球の甘さだ。
「どうしてもスプリットチェンジに頼りたくなってしまうんですけど、ゾーンに残ったら1軍のバッターを逃してくれないので、しっかりそのストライクゾーンに投げるところと、ボールにするっていうところを使い分けしないといけない」
「ファームだと、フリーカウントのストライク率ってすごく高かったんですけど、今日はどちらかとそこでビハインドカウント時にカウントアップできなかったってところがありました」
相手打者に対して、より優位な状況に持っていくのは、プロで生き残っていくためのスキルの一つ。「当然、1軍という環境になったら、ファームみたいに思い切ってゾーンに行けなかったりはすると思う。それも経験です」と語る小杉コーチは、ここから良化していくはずとポジティブに見据えた。
小園の“初勝利”に胸を熱くさせるのは1軍の首脳陣だけではない。2軍で指導にあたっていた入来祐作二軍投手コーチは、「立ち会えて良かったですよ。本当にここまでが長かったですからね」と自分のことのように喜び、「よく粘って投げたと思います」と頷いた。
さまざまな課題を乗り越えてきた右腕の成長を間近で見守ってきた。だからこそ入来コーチは、「今年に入ってツーシームを覚えて、自分の中でひとつバッターをアウトにして進めていける球種として習得してここまで上がってこれたのでね。なんとかゲームは作れるということを証明できたので、今後もその精度を磨いて頑張ってくれたらいいと思いますよ」と微笑んだ。
ただ、入来コーチも「課題は真っ直ぐですからね」と厳しく指摘をする部分も忘れない。
「もっとしっかりとした真っ直ぐが投げられればムダなフォアボールも減ったでしょうから。そこは自分が一番わかっていると思います。すべての面ですね。良くなってきているのですが、でもまだまだ本人はまだ満足していないと思いますよ」
待ちに待った1勝だ。「次はメンタル的にもゆとりをもって投げられるはずです。『俺、1軍で勝てたんだ』ということが、彼にとってどれほどの自信になっていくか」(入来コーチ)というかけがえのない財産を得た小園。「高校世代No.1」の称号を引っ提げプロ入りして4年、同級生の達孝太(日本ハム)は自分よりも早くブレイクを果たし、来年は同世代の大卒も同じ舞台に立つ。ますます結果が求められていくのは間違いない。
その中で「自分もいるんだぞというところを、もっと出していきたい」と宣言し、プロのスタートラインに立った18番は、ここから輝きを放っていく。
[取材・写真・文/萩原孝弘]
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