4試合フル出場の松島幸太朗「日本の皆さんに元気を」、見る者を揺さぶった「魂の24分間」
売られたケンカは買う覚悟
台風によって、今大会3試合で中止措置がとられた。スコットランド戦も開催が危ぶまれていた。会場の日産スタジアム(横浜)が一部破損し、インフラ復旧が遅れ、スタッフ不足もあって、売店が一部休業状態。関係者の懸命な努力もあって開催にこぎつけ、6万7666人の大観衆が歴史的な瞬間を見守った。
闘いは試合前から始まっていた。スコットランド協会のマーク・ドッドソンCEOは、もし日本戦が中止になった場合、日や場所を変えて開催するよう国際統括団体のワールドラグビーに要求。中止になれば引き分け扱いとなり、スコットランドは戦わずして1次リーグ敗退となる。
中止事項は参加全チームが承認して決まっているにもかかわらず「世界レベルの大会なのに開催されないのは正しい決定とは思えない」と声明を出し、法的措置までちらつかせた。これにより、世界中で賛否の議論が巻き起こる異例の事態となっていた。
試合2日前の先発メンバー発表会見で、いつもは温厚な日本代表・ジョセフ・ヘッドコーチの表情が怒気に満ちていた。
「日本チームの成功を批判するようなコメントがある」とスコットランド側の一連の発言にかみついた。日程や審判の判定が開催国の日本に有利に働いているという声や、台風で試合が中止になることを日本が望んでいるかのような報道も許せなかった。「月曜の朝になれば、どのチームが8強にふさわしいかがわかる」。売られたケンカは買う覚悟だった。
80分の戦いで日本に屈したスコットランドのタウンゼンド監督は「日本が素晴らしかった」と白旗をあげた。真っ向勝負した日本は、4戦全勝で予選リーグを突破。堂々の首位通過で、周囲の雑音を黙らせた。
決勝トーナメント1回戦となる準々決勝は20日、前回大会で大金星を挙げた南アフリカ戦。もう「奇跡」とは言わせない実力を、世界に証明する時がきた。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]