【リーグワン】モウンガを輝かせた「All for one」 BL東京の連覇に見えたチームの総合力

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 後半最初の得点もスクラムがらみ。後半7分過ぎBL東京ボールを奪おうとS東京ベイのFW全員がスクラムに集中した刹那、薄くなったスクラムのブラインドサイドをSH杉山優平が鋭く切り裂く。そこに顔を出したのがSOリッチー・モウンガ。スピードに乗ってパスを受けたモウンガは大幅にゲインした後、余裕を持ってラストパスを大外のWTB森勇登に送り、森は悠々とインゴールを陥れた。コンバージョンも成功して15‐6。

 この後S東京ベイには手痛いミスが続出した。密集から出たボールをFWが受け、すぐさまバックドアに放ったものの、受け手が誰もおらずにボールは転々とした。このボールこそなんとかキープしたS東京ベイだったが、再度密集から出たボールで同じミスを繰り返した。今度は処理にもたつく際に反則を犯し、モウンガにPGを決められて18‐6とリードを広げられてしまった。この場面、ランプレーに長けたBL東京ならタッチキックを蹴ってラインアウトから仕掛けてトライを狙いに行くという選択肢もあったはずで、実際にリーグ戦ではPGを狙うシーンは数少なかったのだが、この確実に点を積み重ねるという選択も勝利に大きく貢献した。

 後がなくなったS東京ベイはフィジカルを活かしたユニットプレーで死に物狂いでの攻撃を開始した。しかし、BL東京のFWはまったく力負けしていなかった。25分過ぎ、S東京ベイはラインアウトからのモールを強烈にプッシュするがBL東京は一歩も引かない。押し切れなかったS東京ベイがたまらずボールを出して、サイド攻撃をかけたところに途中出場のHO橋本大吾がからんでスチール成功。S東京の仕掛けに真っ向から立ち向かってボールを奪ったこのプレーは勝利を決定づけたといってもよいビッグプレーとなった。後半終了間際、S東京ベイはゴール前ペナルティーのタップキックからの密集でBL守備陣に多くの人手を割かせることに成功し、ガラスキとなった密集サイドをついたCTB立川理道がトライを奪ったものの、時すでに遅し。残りの時間を鉄壁といってよいラックを重ねて消費したBL東京が逃げ切り、リーグワン初となる二連覇を達成した。

 この試合のプレイヤー・オブ・ザ・マッチはすべての得点に絡む活躍を見せたモウンガ。試合後モウンガは先週の準決勝で右手を骨折するという重傷を負っていたことを明らかにした。大きなケガを押して出場し、しかも最高の活躍をみせてしまうモウンガはさすがだという他ないが、モウンガを輝かせたのは、S東京ベイの強力スクラムに文字通り一歩も引かなかった上に、ラインアウトでは一本きれいなスチールを決めたFWのフロント5と、津波のように押し寄せるS東京ベイのアタックを防ぎ続けたFW第3列およびBK陣だ。最高の形でラグビーの基本的な精神である「All for one」を体現したBL東京の見事な優勝だった。





[文:江良与一]

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