「ノムさんの懐刀」が語る野村克也さんとの出会い

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 プロ野球界で「ノムさんの懐刀」、「野村監督の右腕」、「名参謀」と呼ばれ、ヤクルト、阪神、楽天で野村監督の下でヘッドコーチや二軍監督を務めて来た松井優典さん。一昨年までは、ヤクルトでファームディレクター、編成部長などを務めて来て、山田哲人等を始めとして数多くの選手を発掘、育成、輩出してきた。

 7月下旬に神奈川県内にて行われた講演にて、改めてその野球人生や野村克也とのエピソードを聞かせてもらった。

野村監督との出会い


 初めて野村監督と出会ったのは、昭和44年1月31日、プロ野球のキャンプイン前日でした。私がプロ入りして最初のシーズンです。あの時の出会いは今でも忘れません。

 その日の夜、全員大広間に集められました。集合時間5分くらい前だったのですが監督、コーチ、選手が全員集まっていたのですがなかなか始まらないのです。どうしたのかなと思っていたら、ある人がのしのしとやってきて床の間にどんと座ったんですよね。その方こそが、当時の野村コーチ兼選手でした。私はその時の野村監督のオーラに圧倒された事を今でも覚えています。とにかく存在感が大きかった。それが野村監督の第一印象です。

 その後私がプロ3年目に初めて一軍のオープン戦に帯同させてもらった時の事でした。宿舎である旅館の風呂に一人で入っていたところ、野村監督が「お~、寒い寒い」と言いながら入ってきたんですよ。その時の印象と、入団したての頃の印象のギャップというものが本当に大きかったです。そこが僕と野村さんとの原点だったと思います。

 その後、野村さんと付き合っていく中で良い面も悪い面も見て、色んな葛藤がありましたけど、でもやはりあの風呂場であった「田舎のおっさん」というのが野村さんの本質であると自分に言い聞かせながら長く付き合わせて頂きました。

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