「自分がやるんだ」が伝わるエース 「成長した」と実感する石川真佑は”勝負を左右する一打”を決めきれるか?【パリ五輪】
石川には古賀とのWエースとして期待がかかる(C)産経新聞社
パリ五輪に挑むバレーボール女子日本代表。エースの石川真佑はこれが自身2度目の五輪となる。
そのキャリアを振り返ると、シニアの日本代表に初めて名前を連ねたのが2019年。その年は女子U20世界選手権で初の世界一に輝くと、B代表で臨んだアジア選手権でも優勝、いずれの大会で石川はMVPに選出された。そうして同年のワールドカップバレーでついに日本代表のトップチームデビューを果たし、コロナ禍で1年延期になったものの、東京五輪の舞台に立った。
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学生時代からその才能を高く評価された石川は中学高校と日本一を経験、東レアローズ(現・東レアローズ滋賀)でも1年目からプレー機会を与えられ、2019-20シーズンにはVリーグの最優秀新人賞にも選ばれている。どの世代でも所属先では、エースというポジションを任された。
東京五輪を経て、2022年から始まった眞鍋政義監督体制下の日本代表でも当然、エースを務めると想像された。だが、チームの強化を進めるなかで、石川はリリーフサーバーとして起用されることからパリへの道のりを歩み出している。石川自身のサーブはより鋭く正確に、かつ高い効果を発揮しつつあり、サーブを強化のポイントにあげていた日本代表にとっても武器には違いなかった。
とはいえ、そもそも控えに回ること自体、石川のキャリアからすれば数少ない。「途中から入ることは自分にとって新しく経験できたことでした」と前向きに話したものの、2022年のネーションズリーグ予選ラウンド、ブルガリア戦では途中出場で前衛に回ると、まるでアタックが決まらず。試合後にはあまりのふがいなさに涙する姿が。「いちばんには『決めなきゃ!!』という意識が先行してしまって。決まらなくて、やばい、やばい、となって空回りしていました。あんなに決まらなくて、ミスばかり。これまでそんなことがなかったので正直、苦しかったです」と明かしたほどだった。
そこにはコートに立つ時間が短いことの影響も少なからずあっただろうが、たとえどんな立場であろうとも石川はチームを勝利に導く気概でいる。やがて同年の世界選手権ではレギュラーに入る機会も増えた。
だが、アタッカーとしての石川は何度も壁にぶち当たることになる。その世界選手権では決勝トーナメントの準々決勝ブラジル戦で最後、相手のマッチポイントから放ったスパイクはネットに。続く2022-23シーズンのVリーグでは決勝のNECレッドロケッツ戦で最後はブロックシャットを浴びて、試合に敗れた。勝負を左右する一打を決めきること、その難しさを石川はまざまざと味わったのである。