両者にとって不幸でしかないメジャーリーグの労使決裂 すでにキャンプインの遅れは決定的、このままでは開幕延期へ

先が見えない労使決裂は、泥沼の様相を呈してきた。メジャーリーグでは昨年12月に労使協定が失効。通常ならば失効の数カ月前には労使が新協定に合意しているものなのだが、全く歩み寄りがみられないままロックアウトに突入し労使に関する活動が凍結された。
その後、メジャーリーグ機構や30球団のオーナーの「労」サイドと、メジャーリーグ選手会の「使」サイドによる交渉は複数回行われたものの、踏み込んだ譲歩案は生まれず。機構サイドは連邦調停局に仲裁を求める自体に発展した。
だが、選手会はこの求めを拒否。調停局による仲裁には選手会の同意が必要だったが、瞬く間に否決された。
もっとも当初から米メディアはこの機構サイドからの働きかけには懐疑的な見方をしていた。USAトゥデー紙は「人気取りが目的」と批判し、メジャーリーグファンに向けて、問題解決に動いているかのように見せかけているだけでは、と指摘していた。
同紙がそう投げかけたように、世間の目はこの問題の被害者が、キャンプインやシーズン開幕の遅れの影響を最も受けるファンであるという論調に向かっている。そして歴史を紐解けば明白なように、そうしたシーズン全体の遅延は最終的にはファン離れにつながる。MLBのシーズンが停滞している間も、コロナ禍にありながらMLB、NFL、NHLのシーズンは消化されていく。2021年のメジャーリーグは、投打二刀流の大谷翔平が中心となり、コロナ禍で60試合に短縮されたみじめな2020年シーズンからの華麗な復興を遂げたはずだった。そんなプラス要素も、消し飛んでしまいかねない不幸な事態に直面している。