アスリート、モンスター、バケモノが跋扈する世界最高峰の総合格闘技『UFC230』の見どころとは!?

タグ: , , 2018/11/1

RIZINなど多様化する総合の頂点がUFC

――またこの2年半、世界のMMAシーンを見渡すと、UFC以外のプロモーションも大きな注目を集め始めていますよね。
髙阪:総合格闘技がこれだけ世界中に広まり多様化してきたので、ファイターが目指すべき道というものも、また多様化してきていますよね。例えば、ベラトールMMAというUFCに次ぐ規模のプロモーションがありますけど、そこには元UFCチャンピオンや、UFCではトップになれなかったけど、自分なりのてっぺんの取り方として、そこを戦場に選ぶ選手が集まってきている。これは、総合格闘技のパイを増やすという意味で、いいことだと思うんですよね。

――日本のRIZINなんかも、異種格闘技戦的なマッチメイクや、軽い階級を中心とした女子選手の活躍などで盛り上がってますけど、これなんかも総合格闘技の多様化のひとつですよね。
髙阪:そうですね。総合格闘家が目指すべきものというのが、全選手必ずしもイコールでなくてもいい時代になっているんですよ。ひと昔前だったら、総合格闘技は「最強を目指す」という道が一本しかない、そういうイメージがあったと思うんです。でも、これだけ選手が増えれば、いろんな考えを持つ選手が出てくるわけで。それぞれ、自分が目指しているものに近い団体を選ぶという、そういう段階に来ている。でも競技として見ると、UFCは間違いなく総合格闘技の頂点なので、世界中のファイターたちが求める究極の道であるという、そこに最大の価値があると思います。

2階級同時制覇の最強王者コーミエ

(c)GettyImages

――日本時間の11月4日(日)にアメリカ・ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催される『UFC230』では、メインカードでUFC世界ヘビー級タイトルマッチ、王者ダニエル・コーミエvs挑戦者デリック・ルイスの試合が組まれています。総合格闘技の頂点であるUFCの最重量級のタイトルマッチというと、これは事実上の世界最強決定戦ですよね。
髙阪:そうなりますね。とくにチャンピオンのダニエル・コーミエは、UFC史上初めてヘビー級とライトヘビー級の王座を同時に獲得した選手ですから(現在はライトヘビー級王座を返上)、間違いなく世界の頂点のひとりですよね。

――コーミエは端的に言って、何がそこまで強いんでしょうか?
髙阪:一言で言ってしまえば、「ヘビー級らしくないヘビー級」というのが、いちばんの強みだと思うんですよ。一昔前までは、ヘビー級の選手というと、体力や体格がものをいって、技術を超えた部分が大きい選手が多かった。

――ブロック・レスナーをはじめとした、技術を凌駕するパワーを持った「モンスター」ですよね。
髙阪:でも、ダニエル・コーミエというのは、身長180cmでヘビー級の中ではかなり小柄なので、その自分の体格と技術を使って、いかにして大きな相手を倒すのかということを、ものすごく考えている選手なんですよね。どうしてもフィジカルの部分では、相手にアドバンテージを取られてしまうけれど、試合中の力の配分や技術によって、相手のスタミナを奪うことで、フィジカルを封じ込めることができるんです。

――簡単に言えば、小よく大を制する術を最も持ったファイターということですか。
髙阪:そう言っていいと思います。個別の技術でいえば、コーミエはもともとオリンピック代表選手(2004年アテネ&2008年北京)なので、レスリング技術が大きな柱だったんですけど、ここ数年はどんどん打撃のテクニックが伸びているんですよね。

――とくに接近戦の打撃は一級品ですよね。
髙阪:ヘビー級タイトルを獲得した、スティーペ・ミオシッチとの試合(2018年7月7日『UFC226』)では、あれだけ体格差(身長13cm差)があるのに、右フックでKOできたというのは、自分の身体のことをすごく理解した上で、持ち前のレスリング技術と打撃を組み合わせた結果だと思うんですよね。そしてパンチの種類としては、前手のジャブ。左手のパンチがすごく伸びるんですよ。あれは、ほぼノーモーションで出しているので、対戦相手にとっては、すごく見えづらいはずです。あのパンチを身につけたことで、打撃でも先手を取れるようになった。だからレスリングと打撃という軸が二つできたことで、組んだ状態と、スタンドで離れた状態の両局面で圧倒できるようになっている。そこが、かつてのコーミエとの違いであり、現在のコーミエの強さを支えている部分だと思いますね。

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