アスリート、モンスター、バケモノが跋扈する世界最高峰の総合格闘技『UFC230』の見どころとは!?

タグ: , , 2018/11/1

予想がつかないルイスの底力

――一方で、挑戦者のデリック・ルイスは、この2年半で最も急激にのし上がってきたヘビー級ファイターですが、コーミエとは対照的な選手でもありますよね。
髙阪:そうですね。コーミエが「ヘビー級らしからぬヘビー級」であるのに対して、デリック・ルイスは「ヘビー級らしいヘビー級」。細かい技術は、ある意味で度外視して、「当たれば誰でも倒せるよ」っていう、強烈な一発を持った選手ですよね。だから、言ってみれば、穴はたくさんあるんですよ。この間のアレキサンダー・ヴォルコフ戦(2018年10月7日『UFC229』)では、早い段階からスタミナが切れて、かなり打撃もたくさんもらっていたにも関わらず、試合終了間際に一発で逆転TKO勝ちを奪ったように、たくさんある穴を埋めるだけの、得体の知れない力を持っている。ここが一番の魅力だと思います。

――ヴォルコフ戦では、あれだけ打撃でボコボコにされながらKOされない、打たれ強さにも驚かされました。
髙阪:あれは対戦相手は嫌だと思いますよ。「一体、どうやったら倒れてくれるんだ?」っていう、ある種の恐怖心が出てきて、攻めているほうが精神的に追い込まれていったりするんですよね。そこもヘビー級らしいというか、元K-1WGP王者でUFCでも活躍しているマーク・ハントなんかにも通じるものがありますよね。

――では、ダニエル・コーミエvsデリック・ルイスのポイントはどこにあると思いますか?
髙阪:ルイスが、当日どういう仕上がりで臨んでくるのかによるでしょうね。デリック・ルイスって、試合によって仕上がりにずいぶんムラがあるんですよ。「ロクに練習してきてないんじゃないか?」って思う試合も、正直ありますからね(笑)。でも、もともと潜在能力が高いので、そんな状態であっても、一発で相手を仕留めてしまうような、そんな強さがルイスにはありますから。

――当日まで、どんな状態で相手が出てくるのか、なかなか予想しづらいというのは、対戦相手にとって厄介なんじゃないですか?
髙阪:それは嫌ですよ。対策の立てようがないわけだから。だからこの試合は、デリック・ルイスの意外性や、追い込まれたときの底力に注目したいですね。MMAファイターとしての技術、能力ではコーミエのほうが全然上だと思うので。ルイスの方は、変にコーミエ対策なんか立てずに、本能で暴れてほしい。その方がいい結果が出るんじゃないか、なんて勝手なことをちょっと思ったりもしますよ(笑)。

――完成されたザ・MMAファイターのコーミエと、ナチュラルモンスターであるルイス。両極端だからこそ、予想がつかなくて面白いと。
髙阪:そういう試合になれば、絶対に面白いですよ。だからこそ、この試合はデリック・ルイスにかかっていると思います。

MMAの魅力がつまったミドル級戦線

(c)GettyImages

――『UFC230』のセミ・メインカードでは、ミドル級ランキング3位のクリス・ワイドマンと、同級5位のホナウド・ジャカレイのトップ5ランカー同士の対戦が組まれています。この一戦は、どう見ていますか?
髙阪:これは、メインのコーミエvsルイスとは対照的な、完成された最先端のMMAファイター同士の対戦ですよね。そして両者とも、コンプリートになんでもできるけれど、ワイドマンはレスリング、ジャカレイは柔術という、自分のベースであり最大の武器をそれぞれが持っている。そして、言ってしまえばレスリングも柔術も同じ組み技なんですけど、お互いやりたいことが違うというか。ワイドマンはテイクダウンして、上から攻めていきたい、でもジャカレイはグラウンドで下になっても関節を極めたり、スイープで体勢を入れ替える技術を持っている。そこがどう噛み合うのか。同じ組み技ながら、どちらが自分の領域で勝負できるのか、そこがポイントだと思いますね。

――あとミドル級というと、UFCでも「最激戦区」と言われることが多いですよね。
髙阪:それは自分も感じてますね。ミドル級というのは比較的重いクラスではあるんだけど、パワーがものを言うヘビー級と違って、軽いクラスのような闘い方ができなければいけない階級でもあるんですよ。試合の中のその局面、局面でいろんな切り替えをしていかなければならない。それを、あの体格でやるわけですから、相当な技術とフィジカル、メンタルも含めて高いレベルにいなければ勝てない階級だと思いますね。

——フィジカルと技術両方が最も必要な階級であると。みんな普段はヘビー級と変わらない身体をしているわけですもんね。
髙阪:リミットは83.9kgですけど、普段は100kg超えてると思いますからね。だから、ある意味で「バケモノ」のような身体を持ったファイターが、最高の技術を駆使して闘うのがミドル級なので、総合格闘技の魅力が詰まった階級とも言えるんじゃないかと思うんですよ。

――では、WOWOWでの放送復活を機に、初めてUFCを観る人にもうってつけの試合と言えるんじゃないですか。
髙阪:UFCには階級がたくさんありますけど、最初に見た方がいい階級かもしれないですね。だから『UFC230』は、アスリートvsモンスターというわかりやすい図式である、コーミエvsルイスのヘビー級タイトルマッチと、総合格闘技の魅力が詰まったミドル級のトップクラスの試合が両方組まれているので、WOWOWの放送再開という意味では、最高のカードが揃ったんじゃないですかね(笑)。

――では、11月4日(日)11時からWOWOWライブで放送される『UFC230』に期待しましょう!

(取材/文・堀江ガンツ)

◆◆◆ 番組情報 ◆◆◆

★『生中継!UFC‐究極格闘技‐UFC230 in ニューヨーク ヘビー級タイトルマッチ!2階級制覇ダニエル・コーミエが登場!』
【放送スケジュール】
11月4日(日)午前11:00~[WOWOWライブ]※生中継
【概要】
メインカードは史上5人目となる2階級制覇を達成したダニエル・コーミエと「ノックアウトアーティスト」と呼ばれるデリック・ルイスのヘビー級タイトルマッチ。さらに元UFC世界ミドル級王者クリス・ワイドマンとかつて日本のDREAMで活躍したホナウド・ジャカレイの対戦も決定。激戦必至の模様を独占生中継!
【出演】
ゲスト解説:川尻達也
解説:髙阪剛、堀江ガンツ
実況:髙柳謙一
進行:渋佐和佳奈

★『UFC IS BACK!究極格闘技が帰ってくる』
【放送スケジュール】
11月4日(日)午前9:00~[WOWOWライブ]※無料放送
【概要】
各界の著名人たちが、UFCの過去の大会から独自の視点で名シーンを選んでその面白さや魅力を伝える特別番組。さらに、10月に先行ライブ配信された「UFC229」のメインイベントで、ライト級タイトルマッチのハビブ・ヌルマゴメドフとコナー・マクレガーの試合もノーカットで無料放送にてお届け!
【出演】
ゲスト:玉袋筋太郎(浅草キッド)、松尾諭
解説:髙阪剛、宇野薫
進行:田中大貴
アシスタント:渋佐和佳奈
https://www.wowow.co.jp/sports/ufc/

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