“難癖”を一蹴した井上尚弥 フルトン撃破の舞台裏で見せた「愛」にリング誌編集長も脱帽「彼を傲慢と言う奴もいた」
フルトン戦の前には彼の実力を疑う声もあった。しかし、井上はそうした逆風をいとも容易くはねのけた。(C)Getty Images
ボクシングの本場からやってきたカリスマを、完璧に粉砕した井上尚弥(大橋)。「モンスター」の異名を授かる所以を世界に知らしめた30歳の日本人チャンプに対する評価は天井知らずで高まっている。
7月25日に東京・有明アリーナで行われたWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦で、井上は2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)と対峙。試合後に「最強と言えるんじゃないかな」と語った30歳は序盤から主導権を握ると、8回に怒涛の連打を浴びせ、TKOで勝利を飾った。
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井上の図抜けた強さを証明するような試合運びに賛辞が相次いだ。そのなかで「こいつはパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位に値するものだ」と絶賛したのが、創刊101年を数える世界で最も権威ある米老舗ボクシング専門誌『The Ring』の編集長を務めるダグ・フィッシャー氏だ。
米スポーツ専門局『ESPN』で記者を務めていたスティーブ・キム氏がホストを務める米ボクシング専門ポッドキャスト番組『3 Knockdown Rule』のYouTubeチャンネルにゲスト出演したフィッシャー氏は、「私にはイノウエの勝利のほうが、少し際立って見えた」とPFPランクにおける“井上推し”の姿勢を崩さなかった。
「もしクロフォードとスペンスの試合が失敗に終わっていたとしても、それでもハッピーだった。なぜなら、試合前にイノウエに投げかけられていた軽蔑があったからだ。彼のことを傲慢だと言う奴もいた」