体重差5.89キロで非現実的 井上尚弥とデービスの“黄金カード実現”は横暴? サウジ長官の発言に疑念「苦痛でしかない」
ともに敵なしの強さを誇っている井上とデービス。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
かねてから囁かれてきた“夢のマッチメイク”を「実現できる」。オイルマネー依存からの脱却を狙う中東の大物の発言が小さくない話題となった。
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業界を騒然とさせたのは、サウジアラビアの娯楽庁長官であるトゥルキ・アラルシク氏の言葉だ。現地時間5月16日に米の格闘技専門メディア『MMA Hour』のインタビューで、ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)と、WBA世界ライト級王者のガーボンタ・デービス(米国)の対戦に言及したのである。
近年のサウジアラビアならやってしまうのではないかと思わなくもない。というのも、2030年のサッカーワールドカップ招致など、スポーツやエンターテインメントを中心として石油依存を脱し、王国のイメージを改善させようという取り組みを加速させている。アラルシク氏も『MMA Hour』のインタビューで、「彼らが適正体重で適切な提案をしてくれれば」と前置きしたうえで「私なら実現できる」と明言。さらに井上の今以上の世界進出にも自信を覗かせる。
「イノウエを日本国内だけで戦わせ続けないよう、世界に彼を見せなければならない。彼を我々のところに来させ、サウジアラビア、米国、ロンドン(英国)で試合をさせるようにする。我々はそのための話し合いをする準備ができている。もしも、彼が数年後に引退をするとして、その試合の99%が日本で行われたようなことにでもなれば残念なことだ」
いわゆる軽量階級のビッグスター同士の対戦は、ファンやメディアにとって夢を抱かせる“黄金カード”だ。さらに井上の本格的な国外進出となれば、彼の市場価値を活かせる各国の関係者たちにとって目から鱗の話ではある。
ただ、現時点では妄想の域は出ない。両雄の間には3階級分の5.89キロの差がある。これは階級制のスポーツにおいては致命的と言える。そして、過去に「階級をひとつ上げるのはそう簡単なものじゃない。それで自分のパフォーマンスが潰されるなら上げることはしない」と語るなど、階級上げを慎重に続けてきた井上が二つ返事でキャッチウェイト交渉に応じるとも考えにくい。