現代最強の井上尚弥が突き進む「日本人が誰も辿れない道」 “階級上げ下げに潜む懸念”を先駆者の功績から紐解く

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階級を上げ下げしながら幾多の戦いを繰り広げた名手の一人であるカネロ。(C)Getty Images

階級を上下する選手の成功例は?

 もっとも、ジョーンズのケースはインパクトが大きかっただけに危険な例として語られがちだが、階級を上下する選手の成功例は少なからずある。現代ボクサーで最もわかりやすいモデルを選ぶなら、2016年〜2020年ごろまでスーパーウェルター級〜ライトヘビー級を自由自在に移動してビッグファイトを求め続けたサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)だ。

 2016年9月のリアム・スミス(英国)戦は、154パウンド(スーパーウェルター級/9回KO勝ち)で戦ったカネロは、2017年5月のフリオ・セサール・チャベスJr.(メキシコ)戦は165パウンド(スーパーミドル級のリミットに−3パウンド/判定勝ち)、2017年9月と2018年9月のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦は160パウンド(ミドル級/引き分けと判定勝ち)、2018年12月のロッキー・フィールディング(英国)戦は168パウンド(Sミドル級/3回KO勝ち)、2019年5月にダニエル・ジェイコブス(アメリカ)戦は160パウンド(ミドル級/判定勝ち)、2019年11月のセルゲイ・コバレフ(ロシア)戦は175パウンド(ライトヘビー級/11回KO勝ち)、2020年12月のカラム・スミス(英国)戦は168パウンド(スーパーミドル級/判定勝ち)と目まぐるしくウェイトを上下させ、総じて優れたパフォーマンスを見せ続けた。

 また、一度はフェザー級まで階級を上げながら、2018年に約7年ぶりにバンタム級に戻って世界王座に返り咲いたノニト・ドネア(フィリピン)も顕著な成功例といっていい。そのほか、マニー・パッキャオ(フィリピン)、フロイド・メイウェザー(アメリカ)はスーパーウェルター級とウェルター級を行き来した時期があり、こういった一世代前の英雄たちの動きも重要なサンプルになる。

 ジョーンズJr.とカネロ、メイウェザー、パッキャオらを比べた時、大きな違いはヘビー級挑戦時のジョーンズJr.は明らかに最重量級用に身体をビルドアップさせて臨んだ点だ。もちろん無差別級のパワー、馬力に押し負けないために、それは必要だった。一方、カネロ、メイウェザー、パッキャオは基本的に同じスタイル、体型のまま複数の階級で戦った印象がある。もちろん一概に言い切れない部分ではあるが、とりあえずは1戦限定でフェザー級に上げる予定の井上にとってもこの点は参考になるのではないか。

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