「僕は泳がない」スウェーデン選手がセーヌ川の水質汚染に懸念 9日の競技出場を辞退「病気になった人がいる」【パリ五輪】
今大会ではトライアスロン競技が行われてきたセーヌ川。しかし、水質に対する懸念は常に付きまとっている。(C)Getty Images
水質汚染が問題視されているセーヌ川を舞台にしたパリ五輪のレースに抵抗感を示すスイマーは少なくない。現地時間8月8日には、翌日に実施される水泳のオープンウォーター(OWS)男子10キロに出場予定だったスウェーデン代表のヴィクトル・ヨハンソンが水質への懸念から辞退を発表した。
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セーヌ川での競技実施を巡っては、開幕直後から大腸菌などの細菌濃度が高く、健康面を問題する声が噴出。実際、トライアスロンやオープンウォーターの公式練習のほか、男子トライアスロンが延期となった。それでも大会組織委員会は、水質が国際トライアスロン連盟の設ける基準値を「下回った」として競技を強行開催してきた。
ただ、実際に泳いだ選手たちからはセーヌ川の状況に対する懸念を示す声は絶えなかった。現地時間7月31日に行われた女子トライアスロンに出場していたベルギー代表のヨリアン・フェルメイレンは、「橋の下を泳ぎながら、良くない匂いを嗅いだし、あまり考えたり感じたりするべきではないものも見た。セーヌ川は100年以上も汚れていたわけでしょ? アスリートの安全が最優先されていたとは到底思えない」と苦言。生々しい言葉は、環境改善の不完全さを物語った。
いまだ安全面での不安は拭いきれていない。そうした状況でのレースが選手にとって大きな負担となるのは想像に難くない。ヨハンソンも母国の日刊紙『Svenska Dagbladet』などの取材で「スタートする気になれないんだ」と明かしている。