問われるサウジ移籍の是非 強まる批判も気にしてられない“助っ人のリアル事情”「稼ぐことのどこがいけないんだ」

タグ: , 2023/9/13

C・ロナウド(左)やネイマール(中央)、ベンゼマ(右)らスターたちが相次いで、参戦しているサウジ・サッカー界。彼らに対しての批判も相次いでいる(C)Getty Images

 今夏のサッカー界における移籍市場において「革命」と言うべきセンセーションを巻き起こしたのは、サウジアラビアだった。

 昨年12月にアル・ナスルがポルトガル代表FWのクリスティアーノ・ロナウドを獲得して以来、大きな存在感を放ってきた中東の大国は、サッカー界の在り方を変えるような“札束攻勢”を展開した。

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 費やされた投資額は、実に9億5438万ユーロ(約1510億8000万円)。そのうち87%はサウジアラビアの政府系ファンド「PIF」の傘下に入った4チーム(アル・ヒラル、アル・ナスル、アル・アハリ、アル・イテハド)で、カリム・ベンゼマ(アル・イテハド)、エヌゴロ・カンテ(アル・イテハド)、ネイマール(アル・ヒラル)、リャド・マハレズ(アル・アハリ)、ファビーニョ(アル・イテハド)といった各国代表のスタークラスを次々に獲得。欧州サッカー界にも小さくない影響を与えた。

 わずか2か月足らずの期間にここまで大規模な投資を行うのは衝撃と言うほかにない。その話題性からして、2030年のワールドカップ招致と、石油依存から脱却して王国のイメージを改善させようという取り組みを加速させるというムハンマド・ビン・サルマン皇太子の狙いが、まずは成功したと言えよう。

 今後に向けても10億ドル(約1400億円)以上の追加予算も投資する構えだというサウジ・サッカー界。一方で彼らには批判的な目も向けられている。とりわけ欧州では、同国が抱える人権問題をスター選手獲得による話題作りによって覆い隠そうとする「スポーツウォッシング」だという見方も強まっている。

 現地9月11日には、今夏にアル・イテファクへ移籍したイングランド代表MFのジョーダン・ヘンダーソンに対し、元女子イングランド代表のジル・スコットが「歓迎されるものではない」と糾弾。同性愛を禁ずるサウジへ移籍した価値観を問う痛烈な批判を展開した。

「金目当て」「道徳心を売った」――。そうした批判は日々強まっている感がある。しかしながら、サウジに活躍の場を求めた外国籍選手たちにも“事情”がある。オーストリアのカルチャー誌『Profil』の取材に応じたスルジャン・スピリドノヴィッチは赤裸々な想いを口にしている。

 現在29歳のオーストリア人FWは、今年7月にサウジ2部のハジェルに加入。これまでもよりも多くの給与を得ているという。そんなスピリドノヴィッチは「もしも、儲けたいならここに来るべきなんだ」と吐露。批判する周囲をけん制するように、持論を展開した。

「僕らのような選手は誰だってここに来るさ。批評家があれこれ口を出すのは簡単さ。でも、彼らは僕がキャリアを終えた時に、問題を抱えていたり、お金がなかったら、決して助けに来ることはないからね。僕は自分と家族の生活を楽にするために移籍をする。ロナウドだって、あれだけ稼いでいるのに、まだ欲しがっているだろ? 稼ぐことのどこがいけないんだ。生活のためなんだ」

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