令和版「下町スワローズ」の命運やいかに⁉
ヤクルトで高津監督の選手起用に注目が高まっている。16日の阪神戦から「特例2021」(本人、家族などの近親者が新型コロナウイルス感染の疑いがある場合、濃厚接触者と認定された場合、発熱などの体調不良の症状が発生した場合、選手異動の手続きに特例を適用できるもの)で離脱していた青木宣親外野手(39)、内川聖一内野手(38)、川端慎吾内野手(33)が合流。(その後、内川は登録抹消が決定)調子を上げてきたチームに頼れるベテラン勢が加わり心強いが、頭の痛いこともある。
主力が大量離脱となった苦しいチーム状況下で、しっかり結果を残してきた若手選手の存在だ。
主力復帰前の15日時点で主に1番に起用された山崎晃大朗外野手(27)が打率3割8厘と気を吐けば、5番で起用されることが多かった塩見泰隆外野手(27)は打率3割4分7厘、得点圏打率に至っては5割と脅威の勝負強さを発揮していた。主力が登録抹消となった31日から7勝3敗3分けと、チームの快進撃を支える原動力となったのだ。
この状況下で思い起こされるのは2016年8月の戦い。当時のヤクルトも現在と同じく、主力の畠山(現二軍打撃コーチ)、川端、雄平、山田と故障のため戦列を外れる主力が続出。そこに立ち上がったのがべテランの坂口智孝外野手だった。『非レギュラー陣』で臨まざるをえなかったチーム状況において「下町スワローズの魂を見せてやろうぜ!」と呼びかけたのだ。あえて「東京」ではなく「下町」としたのがミソ。その心は『ほぼ無名選手の中で「東京」を名乗るのはおこがましい』と謙遜する気持ちから生まれたネーミングだった。この掛け声にチームは燃えた。主力離脱後の8月に4カード連続の勝ち越しを決めるなど、上昇ムードとなったのだ。
問題はその後だった。主力復帰に伴って、以前と同じようにオーダーを組んだところ、チームは急失速。最終的に5位に終わった。やる気になっていた選手たちのモチベーションをうまく活かすことができなかった。過去のこの苦い経験もあり、ネット上では「今の好調を持続させるには、あまり打順を急に変えるのも良くない」、「下町スワローズが話題になったときも故障者が復帰したらすぐスタメンに戻して、急速に勢いがしぼんでしまった。同じ轍は踏まないようにしてくれ」と高津監督への『注文』が相次いだ。