珍しいガッツポーズに見た「焦る気持ち」 水原氏の裏切り騒動にも揺れた大谷翔平から飛び出した“特別な1号”
一塁を回る直前に小さく拳を握りしめた大谷。その動作に一発の重みは感じ取れた。(C)Getty Images
久々に飛び出した一発は重要な意味を持っていた。
現地時間4月3日に本拠地ドジャー・スタジアムで行われたジャイアンツ戦で、ドジャースの大谷翔平は「2番・指名打者」で先発。チームが1点差に詰め寄られていた7回裏に移籍後初となる今季第1号ホームランを放った。
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41打席ノーアーチ――。この自己ワーストとなる不名誉な記録を本人も試合後に「焦る気持ちを我慢しながら」と振り返った。そんな己との葛藤を続けながらの試行錯誤を繰り返す日々の中で飛び出した待望の一発だった。
そもそも4回裏に迎えていた第3打席で感覚は少しずつ取り戻せているようには見えた。結果は、左翼手の正面を突くようなライナーで凡退となったが、芯で捉えた打球は好調時の力強さを感じさせた。実際、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督も試合後の会見で「ヒットになるかは少しの差だった」と同打席の内容が、待望の第1号の呼び水になったと指摘している。
そうして迎えた第4打席だった。大谷は変則左腕のテイラー・ロジャーズがカウント1-3から投じた外角高めへの93.2マイル(約150.3キロ)のシンカーを強振した。
パキャンッ。バットの乾いた音が球場に響き渡った瞬間、ドジャースファンは総立ちとなった。おそらく誰もが「やったぞ!ホームランだ」と確信をもって見送った打球は、瞬く間に右中間スタンドに着弾した。
一塁ベースを回る直前に大谷は、小さく右手でガッツポーズをしてみせた。あまり一発に一喜一憂するタイプではない。そんな男が見せた何気ない所作には少なからず感じるものがあった。