なぜ“投手・大谷”の復帰は「馬鹿馬鹿しいほど遅い」のか ド軍幹部も漏らす規格外だから抱える「ジレンマ」

規格外の才覚を持つ大谷。彼の投手としての復帰プロセスは、一筋縄ではいかない。(C)Getty Images
スポーツ医学の専門家が語った辛辣意見
「オオタニのリハビリのプロセスはただ遅いのではなく、とんでもなく遅い」
これは、米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』にゲスト出演したウィル・キャロル氏の発言だ。MLB球団にリハビリ計画などのコンサルティングも行っている“怪我のプロフェッショナル”は、23年9月の右肘側副靭帯の損傷以来、慎重に調整を続けている大谷翔平とドジャースの対応に苦言を呈した。
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そもそも大谷に施された手術の内容は、本人や球団関係者はもちろん、執刀したニール・エラトラッシュ医師からも明確にはされていない。それでもトミー・ジョン手術をはじめとする多くの事例を見てきたキャロル氏は「慎重すぎる」と断言。復帰まで18か月もかかるというのは馬鹿げている。本来なら早く終わっているはずだから、オオタニのここまでのプロセスは馬鹿馬鹿しいほど遅い」と辛辣な言葉を並べている。
もっとも、ドジャースには「馬鹿馬鹿しい」と言われようと大谷の回復を慎重にならざるを得ない事情がある。それは現場を統括する指揮官の言葉からも滲み出る。現地時間2月20日に米メディアの取材に応じたデーブ・ロバーツ監督は、新シーズンに向けた打順構想について「ショウヘイが1番、ムーキーが2番、3番がフレディ。この並びが一番理にかなっていると思う」と告白。その上で「ショウヘイについては、彼の優れた打撃がどれだけ貴重であることを考えれば、(投手復帰に)慎重に判断することが我々の取るべき行動だと思う」と断言している。
「彼はショウヘイ・オオタニだ。だからきっと順調に回復はしていくと思う。ただ、我々は依然として慎重に判断し続ける」
大谷が二刀流を当たり前のようにこなしたのは、約2年も前になる。ゆえに右肘にキャリア2度目のメスを入れた身体が、ふたたび異次元の労働力に耐えられるかどうかに不透明さはある。10年契約をより良く活かしたいであろうドジャース首脳陣が「慎重に判断し続ける」というのは至極当然の決定と言えよう。