「投手・大谷」復活への道のり トミー・ジョン手術のリハビリの難しさとは

タグ: , , 2020/8/7

 エンゼルス・大谷翔平の、今季投手としてのプレーは早くも終わってしまった。2試合目の登板となった8月2日のアストロズ戦は、2回途中で5四球と制球が定まらず降板。試合後のMRI検査で、右肘の内側の筋肉に張りがあり、投球再開まで4~6週間と診断された。今季は新型コロナウイルスの影響で、9月27日までの60試合というショートシーズンに短縮されている。投球再開後も実戦登板までにはそれなりの時間を要するため、チームも本人も、今季は打者に専念する考えを明かした。


 完全復活へ向けた重要なステップを踏む1年になるはずだった。大谷は右肘のトミー・ジョン手術を2018年10月に受けた。全治1年以上の大手術で、昨季中は打者に専念。今季はリハビリ過程の投球を積み重ね、162試合のフルシーズンが期待される来季こそ二刀流完全復活を期していたが、青写真はもろくも崩れた。2020年の投手成績は2試合で1敗、防御率37・80。投球回はわずか1回2/3というひどい数字で終わった。

 当初、新型コロナウイルスの感染拡大によるシーズン短縮は、投手・大谷にとっては追い風になるのではとさえ見られていた。

 トミー・ジョン手術はリハビリの難しさで知られる。復帰を焦り、短期間でマウンドに戻ると、故障を再発させ再手術に追い込まれる最悪のケースも、決して少なくない。どれだけ我慢して、長い時間をリハビリに使えるかが、手術の成功率に大きく影響してくる。大谷はコロナの影響がなければ、今季3月の開幕は打者で迎え、順調ならば5月以降に投手復帰する、というのが当初の構想だった。手術した2018年10月からは「1年7カ月後」という計算。この期間が、できれば長ければ長い方がいい。コロナ禍により結果的に開幕が7月下旬まで遅れ、術後「1年9カ月後」の投手復帰となった。この遅れは、手術明けの大谷にとっては間違いなくプラスとなったはずだ。





 見当違いとなったのは、メジャーマウンドに帰ってくるまでに、実戦での調整登板の機会が一切奪われたことだった。コロナ禍で開幕が遅れただけでなく、マイナーリーグが一斉に中止となった。本来ならば3Aや2Aのマウンドで、少なくとも5試合前後は調整登板を積み、メジャーのマウンドを踏むはずだった。

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