松岡修造が熱く語った全米オープン 「錦織の人生が変わる」、「僕が黙ったら良いシーン」
今大会勝てば、錦織の人生が変わる
言わずもがな、錦織を語るうえで、全米オープンは欠かせない。2014年、ノバク・ジョコビッチを破り準優勝、2016年もアンディ・マレーを退けて4強入りを果たした。そして松岡氏は今大会で勝てば、今後の錦織の人生をも変える、と話す。
「メンタルの強さが完璧に戻ったジョコビッチや、心底から勝ちたいと思うフェデラーやナダルは、少しぐらいテニスが崩れても、強い。何故なら彼らは王者としての経験があり、ポイントの取り方も知っているからです。
錦織選手と彼らの差は『グランドスラムで勝つ』という経験。錦織選手がそれを知ったとき、新たな自信がつき、これまでとまったく違うレベルのテニスがスタートする。錦織選手は4大大会のうち、1回勝てればいいという選手ではありません。狙えるのであれば4大会獲りたい選手。だからこそ、早くそれを知って欲しい」
「錦織圭は大事なところで逃す」。そんなマイナスイメージを払拭できるのも、今大会ではないか、と松岡氏。
「今大会、ジョコビッチ、フェデラーでも優勝確立を5割以上という人はいないと思われます。それほど上位選手の力が拮抗し、錦織選手にも優勝の可能性は2割~3割あると考えます。2割という数字は、決してガッカリするような低い確率ではなく、むしろすごく高い数字。集中力を持ち、我慢をしながらプレーを続ければ、優勝する可能性もあります」
大坂なおみの優勝確率は「ゼロか100」
一方、今年は全豪でグランドスラム自己最高のベスト16へ進出。3月にインディアンウェルズを制し、WTAツアー初優勝を決めた大坂なおみ。昨年12月にコーチに就任した、サーシャ・バインの影響を指摘する。
「セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)らトップ選手を指導してきたサーシャの強みは、プレッシャーへの対処を知っていること。彼の下で、練習中も腕立て伏せやダッシュを繰り返す大坂選手は、体力もどんどんつけていると感じました。
僕が思う大坂選手の魅力は『何をするかわからない怖さ』です。今後も型にはまらず、彼女ならではの感性でプレーを続けてほしい」
最後に「大坂選手はいわば『ナオミ・キャンドル』」と独特の言葉で比喩する松岡氏は、彼女の全米での優勝の確立を「ゼロか100か」と大胆に予想。
「大坂選手は【心の炎がつくかつかないか】です。彼女の炎がオンになり、燃えているときは、相手が世界一の選手であろうが太刀打ちできません。一方で炎が消えると、ランキングの低い選手にさえ負ける可能性がある。
今、女子も力が拮抗しているので、僕は大坂選手が優勝してもまったく驚きません。そして世界中の解説者も有力選手の一人として、彼女の名前を挙げてくるのではないでしょうか」
松岡「放送中に僕が黙ったら、それはいいシーンの合図です」
さて、グランドスラムのなかでも、エンターテインメント性の高い大会として知られる全米オープン。「静かに観戦するウィンブルドンとは対照的。自由で、エキサイトしていくエンターテインメント性は、アメリカのスポーツ文化、そしてお客さん自身によって作り上げられている気がする」と松岡氏。
「賑やかな全米オープンは、ビールを片手にテレビ観戦をしたくなる雰囲気が魅力。僕も現地から解説をさせて頂きますが、視聴者の皆さんにも例えば錦織圭を応援しているのであれば彼になったつもりで、溜息をついたり、悔しさを感じたりしながら、選手と一緒に戦ってほしい。そうやって観ると、テニス観戦初心者でも、試合に入っていけます。
そして、放送中に僕が黙ったら、それはいいシーンの合図です。いいシーンに言葉はいりません。まるで試合会場で観ているかのように、観客と会場の雰囲気を感じてほしい」
日本人選手は錦織と大坂のほか、杉田祐一、西岡良仁、ダニエル太郎、奈良くるみらが出場予定。また、ダブルスのマクラクラン勉、二宮真琴、穂積絵莉、車いすシングルスでは昨年の覇者・上地結衣と国枝慎吾が出場する。果たして決戦の日、アーサー・アッシュ・スタジアムに立つ錦織の雄姿を再び見られるのか。今季最後のグランドスラムの行方を、期待を持って見守りたい。
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
『錦織圭・大坂なおみ 世界の頂点へ!全米オープンテニス開幕直前スペシャル』
【放送日】8月26日(日) 夜9:00[WOWOWプライム] ※無料放送
『全米オープンテニス』
【放送日】8月27日(月)~9月10日(月)連日独占生中継
※第1日無料放送
※第5日ナイトセッション無料放送(9月1日(土)午前7:30~午後3:00)
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。