楽天・則本 辛く、長い1年でUPしたモノ
それは、人によっては弱音とも受け取れる発言だった。
楽天の則本昂大に2018年の総括を尋ねると、このような言葉が多く出た。
「不甲斐ないシーズンでした」
「成績全体を見ても、プロ生活のなかで一番よくなかったと思う」
新人の13年から6年連続で2ケタ勝利。奪三振に至ってはプロ野球の「レジェンド」である江夏豊と鈴木啓示に並ぶ5年連続でのタイトルを獲得している。チームが最下位だったことを考えれば、今年の10勝11敗、防御率3.69の成績は悪くはない。
辛く、長いシーズンでした
悲観的な言葉が並ぶなか、則本はボソッと、このように呟いた。
「辛く、長いシーズンでした」
この嘆きに、すべてが集約されていた。
18年は持ち味のストレートを痛打されることが多く、切れ味の鋭いスライダーやフォークボールも安定しなかった。4月と5月はともに2勝。5月26日のソフトバンク戦から自身5連敗を喫するなど、復調の気配は感じられない。今でこそ、「春先から調子がなかなか上がらなかった」と本音を漏らせるが、シーズン中は明かさなかった。それは、「絶対エース」と呼ばれた田中将大が海を渡った14年以降、エースとしてチームを支え続けている男の、意地でもあった。
「このままの状態で投げてもいいのか?」
「他のピッチャーが投げたほうが勝てるんじゃないかな?」
7月、再調整のため一軍登録を抹消された則本は、負の感情と戦っていた。
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