日大アメフト部の事態はどの組織にも起こりうる チームビルディングの重要性
監督、コーチ、先輩などの指示に対し、意見や議論を唱えることができない風潮がある
「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は「チームビルディングの重要性」についてお話させて頂きます。
日大の日大アメフト部の「悪質タックル問題」で内田正人前監督、井上奨前コーチが指示を否定し、選手に責任転嫁するような対応が問題視されましたが、これは決して特異な事例でないように感じます。日本の社会は未だ年功序列の縦社会が残っており、スポーツの世界でも指導者によっては監督、コーチ、先輩などの指示に対し、意見や議論を唱えることができない風潮をチーム、組織は色濃く残っています。指導者が組織を間違った方向に導いた時、今回の日大アメフト部のような事態はどこの組織でも起こり得るのです。
実際に私が「チームビルディング」をテーマに指導で携わった組織で指導者側と部員の意識が乖離している状況がありました。その組織では特にトレーニング部門において監督の思惑と選手の受け取り方がうまくいっていなかった。原因を突き詰めると、監督にはハードなランニングメニューには意味があり、体力強化だけでなく「最後まで諦めない精神的な部分での強化」を促したいとか、「選手に自主性をもって取り組んでほしい気持ちがあるが、どうしても全員がそういった方向にならず、結果として指示として強制的になってしまう」と話していました。でも、その意図が部員に伝わっていない。チームとしてどのような方向性でプレーしたいのか、どういう目標に向かってプレーするのか意思疎通が取れていない。これでは強くなりません。監督も部員もチームを強くしたい思いは一緒です。ただ、現実は監督の顔色を伺い、部員が意見を満足に言えない状況でした。私は「個々で思っていることを主張し、意見がぶつかってもいいから自分の意見を声に出して言おう」と伝えました。
たった1つのテーマにおいても互いに思っていることがわかっているつもりでも、実はわかっていないことが往々にしてあります。同じ目標に向けて、個々の役割、仕事、思いは違います。そこで意見を出し合うことで「この人は実はこんなことを考えていたんだ」と気づかされて相互理解になることもあります。円滑にコミュニケーションが取れる組織は強くなります。組織を変えるためには外部の第三者を入れ、客観的な観点からチームビルディングへの取り組みを入れても良いと思います。組織内には嫌悪感を示す人もいるかもしれませんが、時代の流れと共に組織が常に発展していくためには新しい刺激を入れることで劇的に変わる可能性があります。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
高橋 純一(たかはし・じゅんいち)
MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。
J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)