「いつの間にか勝ってる」――阪神快進撃の裏に岡田彰布がこだわった“普通”あり 失策の”質”に表れる強かったワケ
終盤の競った場面、勝負所で露呈する守備の脆さ。これに目を付けた岡田監督は、開幕から各選手の守備位置を固定。一つのポジションに専念させたことで、局面での判断力は増し、要所での凡ミスはなくなった。
優勝を決めた巨人戦でも、そんな“岡田改革”の効果が発揮された場面があった。
9回に守護神の岩崎優が坂本勇人にソロホームランを被弾して1点差とされ、さらに1死二塁という局面だ。打席に立った梶谷隆幸が放った痛烈な打球は、一、二塁間を破るかと思われた。しかし、「あぁ」というため息も聞こえた刹那、二塁手の中野拓夢がスッと飛びついてヒットを阻止。抜けていれば同点の可能性もあったが、27歳は絶妙なポジショニングと素早い反応で、“普通”に捌いた。
昨シーズンはリーグワーストとなる18失策を記録し、開幕前に遊撃手から二塁手にコンバートされた中野。しかし、岡田監督が「肩が弱いと守備位置が前になってきて、ヒットゾーンが広くなってしまうのも問題。でも、中野のバッティングは絶対必要」と起用をし続けた効果が、真価の問われる局面で発揮された。
もっとも、今シーズンの阪神のエラー数はセ・リーグ5位の73。お世辞にも守備が巧いチームの成績とは言い難い。それでもチーム防御率はリーグ断トツトップの2.61だ。これは間違いなく競り勝てるチームとなった証と言えよう。
神は細部に宿る――。普通にこだわり続けた勝負師・岡田彰布によって、阪神はより洗練されたチームへと進化した。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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