練習が厳しい強豪校出身の選手のクセとは ~阪神・岩田稔の個人トレーナーが語る6~
阪神タイガース・岩田稔投手と二人三脚で支えるパーソナルトレーナーの網川翼さん。
前回までは、プロ野球選手のトレーナーになるキッカケ、岩田投手と語り合う技術論、精神面などの話を語って頂きましたが、今回は「6年間で変わってきたこと」について語っていただきました。
強豪校のクセで、いかにサボるか、楽するか、が身についていた
岩田投手の場合は、スピン量どうこうというより、押し込みが強いので、体重を乗っけてくるので、手の甲の部分に感じるんです。これが捕っているときのバロメーターですね。
今は、良いところをたくさん見つけてあげられるようにしています。捕るようになってからは「これはアカン」は言わなくなりましたね。5年前から自主トレでアメリカに行くようになったのですが、向こうのトレーナーの指導の仕方、アドバイスの仕方が、良いところを指摘するものだったんです。日本は悪いところを指摘しがちですが、良いところを伸ばして天井を上げた方がモチベーションも上げやすいじゃないですか。そういう感覚って良いよな、って言うのはありました。
岩田選手が6年間で一番変わったのは、言われなくても自分から走るようになりました。基本的に学生時代から強豪校だったから、いかにサボるか、いかに楽するか、を考えていたので(笑)。
ところが一度体重が増えすぎて身体が回らないときがあって、体が絞れるように走る指導をしたら、4kg落ちてバンバン投げられるようになったんです。
毎回、一緒にトレーニングするのですが、だんだんキツくなってきましたけど。結果が出るので、嫌だと言わなくなりました。そういう意味ではちゃんと信頼してくれているなと思います。
昨年までの岩田稔投手と違うところ
トレーニング内容一つに対しても、何かしらやればプラスにはなるんですけど、マイナス要素が生まれる可能性もあるんです。それをいかにプラスだけにできるかという動かし方を考えながらやっています。
今まで彼を怪我させていないというのが自信だったんですが、今シーズンの始めにやってしまったんです。でも、それはパフォーマンスが上がったから。早く復帰できたから良かったです。
また、昨年までと違うところで言うと、今年は立ち上がりが良くなった。心技体の弱いところの差が埋まってきたのかな、と。
昨年までは、日によって身体は良いのにメンタルがダメだったり、良いボールいっているのに、ストライクを取ってくれないからメンタルが下がったり…。
今年は自分でドンピシャなボールがいってストライクを取られなくても、結果オーライという考えになっています。だから一つ甘いところにいくのではなく、「もう一発そこへいったれっ!」と思えるようになっている。次だったら取ってくれるかもしれない、と。
いい意味で開き直りができています。客観的に見て、そういう試合が多くなってきていると思います。味方がエラーしても、次アウト取ればいいやという風に。
味方がエラーしたんだったら、三振を取れば、それも帳消しにしてあげられるという感じです。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
網川 翼(あみかわ・つばさ)
つばさ鍼灸整骨院代表/ 岩田稔パーソナルトレーナー
幼少の頃より自転車競技やトライアスロンなどスポーツに親しみ、一時はプロ競輪選手の道を志すもアスリートを影で支えるコンディショニングに興味を持ち、トレーナーの世界に入る。
自身がスポーツ経験者であることで競技者の心理に寄り添ったコンディショニングが評判を呼び、2013年よりプロ野球選手・岩田稔選手(阪神)とパーソナルトレーナー契約を結ぶ。 家庭では4児の父。
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