「ミオシッチvsコーミエのヘビー級タイトルマッチは1勝1敗で迎える決着戦」髙阪剛が『UFC252』の見どころを語る
対戦2回目(UFC241)/Getty Images
――今回は、お互い手の内がしっかりとわかった上での3試合目になると。
「だからこの3試合目はお互いやりづらいと思うんです。コーミエからしたらボディブローのディフェンスはしっかりと準備してくるでしょうけど、ミオシッチもそれを見越しているから、そのままボディ狙いでくるとは考えにくい。また、相手の攻撃に対処するというやり方だと、どうしても後手後手に回ることになりますから」
――となると、先の先を読むというか。また新たな戦略を考えなければならないわけですね。
「そういうことです。だからコーミエ側からすると、抜群のレスリング力を持っていながら、1回目も2回目もそこまでタックルを混ぜてくることはなかったし、グラウンドコントロールに徹することはやっていないので。前半は寝かせたり、ケージレスリングで体力を削っておいて、後半、打撃勝負を仕掛けるということも考えられます」
——コーミエ自身も「今回はテイクダウン地獄を味わわせる」と言っています。
「テイクダウンまでいかなくても、ケージに押し付けてのコントロールも容易でしょうからね。ケージに押さえつけられているだけでも体力は奪われているので、そこもミオシッチは気をつけながら試合をしなきゃいけない。だからコーミエの攻撃にミオシッチがどう対応するか、という展開になると思うんです。普通、挑戦者が王者への攻略法を練るものですけど、この二人に関しては、王者の方が対策に時間をかける必要がある」
——たしかにコーミエにとって、ミオシッチのような長身のストライカー(193cm)は、今までライトヘビー級時代も含めて何度も戦っていますが、ミオシッチにとってはコーミエのような体の小さいトップレスラー(180cm)との対戦というのは、コーミエだけです。
「だからコーミエ相手の時だけ、練習内容も試合の組み立ても変えなきゃいけない。またパンチの使い方がコーミエは独特なんです。基本、ジャブと右ストレートですが、微妙な距離設定なんですよ。普通、こんな身長が低い選手は、ここにパンチは届かないだろうっていうところにも届いてしまう。だから、コーミエのパンチが届く距離を、いかに外して自分の打撃を入れることができるかが、ミオシッチとしてはひとつポイントだと思います」
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――また、コーミエはクリンチもうまいです。
「ただ、ミオシッチも2回目の試合のとき、コーミエが前に出て組もうとしてきたところを、サイドステップで体を入れ替えるシーンがあったんです。前からその動きをやっていたのですが、組みに来る相手に至近距離でそれができたというのは、ミオシッチにとっても収穫だったかもしれない。1試合目の時は、組みにきたコーミエを前に押し返すか、後ろに下がるかしかやってなかったんですが、『横にずらすと相手がこんな簡単にいなすことができるんだ』という感覚がつかめていたら、あの『いなし』の技術は、ひとつのキモになるかもしれない」
——そこで組ませずに、コーミエにペースをにぎらせなかったら、ミオシッチがKOする可能性も高まるという。
「そうですね。組もうとしたところをいなされると、絶対に対応が遅れるんですよ。そういう時に打撃をもらったりするものなので。だからスタンドの攻防も、単純に打撃だけでなく、そういった組みも交えた探り合いという、高い次元での攻防が見られるんじゃないかと思います」
――ヘビー級だけれども、大味ではなく細かい技術も駆使した試合になるだろうと。
「そうです。ですから、今回はヘビー級の迫力はもちろんですが、細かい技術の攻防までじっくりと観てほしいですね」
ラスベガス 最重量ヘビー級注目の一戦、ミオシッチvsコーミエ 3度目の激突。8/16(日)午前11:00にWOWOWで生中継される。
[取材/文・堀江ガンツ]
◆◆WOWOW『UFC-究極格闘技-』放送スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC252 in ラスベガス 最重量ヘビー級注目の一戦、ミオシッチvsコーミエ 3度目の激突!』
8/16(日)午前11:00[WOWOWライブ]生中継
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)
8/17(月)よる6:00[WOWOWライブ]リピート放送
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)
【対戦カード】
<ヘビー級タイトルマッチ> スティーペ・ミオシッチ vs ダニエル・コーミエ
【収録日・収録場所】
2020年8月16日/アメリカ・ネバダ州ラスベガス UFC APEX
【出演】
解説:髙阪剛、堀江ガンツ
実況:髙柳謙一
■詳しくはWOWOW番組オフシャルサイト(https://www.wowow.co.jp/sports/ufc/)をチェック!
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