「ブラホヴィッチのライトヘビー級2度目の防衛戦&バンタム級前王者ピョートル・ヤンが再び王座に挑む」髙阪剛が『UFC267』の見どころを語る
ピョートル ヤン/Getty Images
――続いてセミ・メインイベントは、当初、ピョートル・ヤン相手にバンタム級初防衛戦を行う予定だったアルジャメイン・スターリングが首の手術からの回復が遅れたため、ヤンvsコーリー・サンドヘイゲンのバンタム級暫定王座決定戦になりました。
「サンドヘイゲンは、7月にTJ•ディラショーに判定負けしながら、急きょ、チャンスが巡ってきたわけですよね。」
――ディラショーは試合後、ヒザの手術をしたため今回の暫定王座決定戦には出場できなかったわけですが。そもそもあの試合は、ほぼ互角の内容で、「サンドヘイゲンが勝っていた」との声も多い試合でした。
「自分もサンドヘイゲンの勝ちじゃないかと思ったんですよ。ただ、ディラショー戦で勝負の分かれ目になったポイントがあって、今回のピョートル・ヤン戦でも、そこが肝になるかなと思うところがあるんです。」
――それはどんな部分ですか?
「サンドヘイゲンは本当のオールラウンダーで、穴がないように見えるんですけど、なんでもできるが故に、相手の強い部分でも勝負してしまうところがあるんですよ。例えば寝技で下になっても、ロールと呼ばれる回転する動きでスタンドに戻したりするのが得意なので、『テイクダウンディフェンスでフィジカルを使ってしまうくらいなら、自分から下になって回転して脱出すればいいや』みたいなところが見えるんですよ。ただ、それってジャッジの印象は、あまり良くないんです。」
――サンドヘイゲン本人の感覚では全然ピンチじゃないのに、ジャッジからは「寝技で上を取られた」と判断されかねないわけですね。
「そうなんです。TJ・ディラショーとの試合でも、そこをジャッジに判断されて、微妙なラウンドを落としたことで、判定負けにつながってしまった部分があると思うんですよ。」
――そこが強みであり、落とし穴でもあったわけですね。対するピョートル・ヤンはいかがですか?
「ヤンはそれとは全く逆のタイプで。自分が不利な体勢でタックルを仕掛けることはないし、もし相手がタックルに来たら何がなんでも切る。フィジカルが強いから、しっかり切れるんですよね。打撃に関しても、スターリング戦では不用意に手を出さず、前に出るプレッシャーで相手の体力を削り、ポイント、ポイントでしっかり当てる打撃を打ちにいく。それで相手が疲れたところで勝負をかけていくような、クレバーな試合をやるようになっていた。」
――自分の勝つためのスタイルが固まっているのがヤンで、局面ごとにいろんな技術を駆使しようとするのが、サンドヘイゲンだと。
「そうですね。サンドヘイゲンは技が多彩なので、勝負所で畳み掛けるというより、持っている技術のどれが相手に有効なのか、探りながら試合をやっていくタイプだと思いますね。」
――では、ポイントはどの辺になりそうですか?
「タイプがまったく違うことと、あとは身長差がかなりあって、サンドヘイゲンが10センチ高いんですよね。身長180センチというのは、バンタム級ではかなりの長身ですから、サンドヘイゲンはその身長、リーチを使って、遠い間合いからでもパンチを届かせることができるし、対角線のローキックもズバズバ決めていくし。あれは、相手が距離感をつかめていないから、もらってしまうんです。
そういうサンドヘイゲンを攻略するのは、本来かなり難しいんですけど、ヤンにはそれを崩せるだけのフィジカルと、強い打撃を当てる感覚を持っている。長い距離で、多彩な技術を駆使するサンドヘイゲンを、ヤンの圧力と踏み込むスピード、打撃の破壊力が切り崩すことができるかが、鍵になるでしょうね。そういう意味では、同じバンタム級同士の試合とはいえ、異種格闘技戦と呼びたいくらいタイプの違う二人なので、これまで見たことがない、異次元の試合になるかもしれない。また、ここから何かが生まれるような試合を期待したいですね。」
コーリー サンドヘイゲン/Getty Images
(取材/文・堀江ガンツ)
◆◆◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール◆◆◆
『UFC‐究極格闘技‐ UFC267 in アブダビ ライトヘビー級ブラホヴィッチ防衛戦&バンタム級暫定王座決定戦』
10/30(土)深夜3:00頃[WOWOWオンデマンド]※先行ライブ配信
10/31(日)午前11:00[WOWOWプライム]※終了時間変更の場合あり
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
11/6(土)午前10:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【対戦カード】
・ライトヘビー級タイトルマッチ/ヤン・ブラホヴィッチ vs グローヴァー・テイシェイラ
・バンタム級暫定王座決定戦/ピョートル・ヤン vs コーリー・サンドヘイゲン
【出演】
解説:髙坂剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
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