浦和はCWCで「格上の強豪」とどう戦うべきか “微調整”と“異能”が勝利へのキーワード
ずっと理想的なボールの奪い方が出来るわけではないので、もちろん我慢は必要だ。しかし、我慢ばかりになると、90分はもたない。
初戦のリーベルを想定すると、相手はC大阪に近い配置の4-3-3を敷く攻撃的なチームであり、右ウイングには17才の怪物マスタントゥオーノが立つ。右サイドバックやインサイドハーフの関わり次第では、彼はサヴィオの周囲で自由にボールを受けられる。あるいはマスタントゥオーノは中でもプレーできる選手なので、中へ入って長沼を引き寄せつつ、右サイドバックがオーバーラップして一発で背後を陥れる、といった可能性も考えられる。浦和の守備的急所を踏まえると、C大阪戦同様、そのままではやりにくい相手だ。
どう微調整するか。
仮に相手のサイドバックが高い位置を取るならば、反面、トランジションでその背後は空く。渡邊を左サイドハーフに移して守備を任せ、2トップのサヴィオと松尾がサイドへ流れるなどカウンターの起点を作ってもいい。これはC大阪戦でも見られた手札だ。この辺りの駆け引き、試合中の調整はポイントになる。
そしてもう一つ、浦和が我慢ばかりにならないための重要な方法がある。ポゼッションだ。奪ったボールを失わずに保持し、運ぶ。あるいはGKからビルドアップする。リーベルは4-3-3のままプレッシングに来る可能性が高いので、中盤のスペースを使いながらボールを保持し、運びたい。ポゼッションがある程度機能すれば、守備で我慢を強いられても戦い抜けるはず。
そのキープレーヤーは言うまでもない。グスタフソンだ。ビルドアップも、アタッキングサードの崩しも、この異次元の魔術師がタクトを握るのは間違いない。浦和は守備戦術の細かさに比べると、攻撃はタレントの配置任せで、人に任せる領域が大きい。その意味でもグスタフソンは唯一無二だ。
もう一人のキープレーヤーは西川周作。リーベルがアグレッシブにプレッシングに来れば、西川から一発でひっくり返すキックが重要になる。相手が浦和を明らかな格下と見て戦ってくるなら、西川のキックは得点に近づく最も有効な手段かもしれない。相手が焦れるくらいまで耐えれば、隙は必ず生じる。
守備の微調整と、グスタフソンや西川の異能。浦和を勝利に導くキーワードだ。
そして言わんや何より、恐れないこと。局面の勝負は、不安や恐れを抱いた瞬間に負ける。ワールドカップに挑む日本代表もそうだった。直近でグループステージを突破した2018年、2022年を振り返っても悲観的展望が占める中、コロンビアやベルギー、ドイツやスペインに対して日本は恐れがなかった。
威風堂々。仕掛けろ浦和。大事なことなので二度言う。キックオフは18日早朝4時(日本時間)だ。
[文:清水英斗]
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