パリ五輪への「準備、調整」は万全か?ネイションズリーグから見えた男子日本の現在地【男子バレー】
一方で、強度の高い試合が続いただけに、やはり懸念材料となるのはコンディション面だ。フィリップ・ブラン監督も今年5月7日の代表始動会見でスケジュールについて触れた際、「予選ラウンド第3週のマニラ(フィリピン)からファイナルラウンドが実施されるポーランドに移動しするため、疲労が蓄積されます。そうして大会後は短い期間で、再びポーランドでのエキシビションマッチを経て、パリ五輪を迎えることになります」と語っていた。
チーム全体は好調で、選手たち個々も高いパフォーマンスを発揮できている。それだけに不慮の事態は避けたいところ。実際、髙橋藍はVNLの予選ラウンド第3週途中から登録を外れた。2023/24クラブシーズンで負った足首の怪我の後遺症に対する検査を行ったとのことで、最終的にファイナルラウンドの登録メンバーにその名前はなかった。髙橋自身はVNLを通して、サーブレシーブの安定感はもちろんのこと、攻撃面でも高い決定力を見せていた。チームとしては“本番”であるパリ五輪に向けて慎重を期する意図が、そこには見て取れる。
もちろん、この先の練習やプラクティスマッチに臨むなかで、そうした不安はゼロにはならない。それでも、VNL予選ラウンド第1週からアウトサイドヒッターの大塚達宣やオポジットの宮浦健人らが存分に力を発揮しているように、“誰が出ても戦える”なおかつ全員がコート上で“日本の戦い方”を繰り出せるのが、今の強みである。従来から定評あったレシーブ力に加え、効果的なサーブ、高さでは敵わずとも決定機を与えないブロック、確実に点数を取るまでカバーやリバウンドに入りボールをつなぐ連携。それらは今、最高潮にある。
そのうえでブラン監督はパリ五輪に向けた最終調整のキーワードに「コンデイション」を挙げた。
「選手全員がいいフィジカルコンディションで臨めることが最も大切です。期間は短いですが、いい状態で五輪本番を迎えること、それが最終的なゴールになります」
花の都で綴られる栄光への軌跡。そのエンディングまで、残り1か月をきった。
[文:坂口功将]
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