【大学ラグビー総括】強みを活かし切った帝京が早稲田を圧倒 見せつけたフィジカルの強さと接点での技術
帝京の接点でのファイトは見事だった(C)Getty Images
第61回全国大学ラグビーフットボール選手権大会の決勝は早稲田と帝京との顔合わせで行われ、33-15で帝京が勝ち、2009年から2018年シーズンに9連覇したのに次ぐ4連覇を達成した。同学の優勝は通算13度目となり明治と並んだ。
今季4度目となる両雄の対戦、試合開始直後から帝京の気合いが早稲田を大きく上回った。
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日本のスポーツ界に長く蔓延っていた、悪しき「根性論」のおかげで、実力的に劣る者が、相手との差を埋めるために、普段の実力以上のものを無理やり引っ張り出すのが「気合い」だと考えられがちだ。だが、この試合の帝京の「気合い」は自分たちの強みを存分に発揮し、その状態を持続させるために有効に作用していた。
帝京の強み、それは個々のフィジカルの強さと、そのフィジカルの強さをボール争奪戦で十分に活かしきる接点でのファイトの技術、そしてこれらを80分間持続させるフィットネスだ。
この試合の帝京の5つのトライのうち4つはFWが奪ったもの。先制トライはFL青木恵斗主将の豪快な突進からのオフロードパスをSH李錦寿がつなぎ、最後はPRとは思えないほどの豊富な運動量を誇る右PR森山飛翔が走り込んで決めた。
後の3本は、いずれもゴール前まで迫ってから、これでもかと密集サイドを突いた末に、パワーランナーである青木、本橋拓馬、カイサ・ダウナカマカマの両LOがそれぞれ決めたもの。試合前に相馬朋和監督が「密集近辺をしつこく突くことを徹底したい」と話していた通りの試合運びだった。
守備面でも、早稲田相手に、スピード勝負で振り回されたら勝つのは難しいと見切った上で、早稲田が外のランナーで勝負に来る前の「崩し」の段階での接点でのファイトに注力して、後半に入ってからは早稲田の攻撃のスピードを全く上げさせなかった。