遠藤航はなぜリバプールで活躍できているのか? 名スカウトを唸らせた独時代の転機「ワタルにどれほどの価値あるか」【現地発】

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ステップアップを図ったシュツットガルト時代の遠藤。しかし、移籍当初はチャンスを与えられない日々を過ごした。(C)Getty Images

腐ることなく自分にベクトルを向け、成長と向き合う

 プレミアリーグの名門リバプールでプレーする遠藤航はなぜ活躍できているのか。

 様々な要因があるだろう。ボール奪取能力の高さ、当たり負けしないフィジカルの強さとしなやかさ、身体をぶつけるタイミングと事前のポジショニング、相手の動きを細かに把握するスキャン能力、ボールを確実に収めるスクリーンスキル、状況に応じた危機管理能力……。数え上げるときりがない。

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 では、遠藤はどのように世界最高峰の舞台でも屈指のパフォーマンスを出せる選手へと成長したのか。その秘密を探るために、少し時計の針を戻してみよう。

 ここで取り上げるのは、2019-20シーズンの遠藤だ。

 当時26歳だった遠藤は、ベルギーリーグのシント=トロイデンから、2部リーグに甘んじていたドイツの古豪シュツットガルトへと移籍。だが、ティム・ワルター監督の構想に入れず、出場機会のない日々が続いていた。

 しかし、突然、転機は訪れる。カールスルーエとのダービーマッチで初スタメンを飾ると、この試合で攻守に大活躍。一気にスタメンの座を射止めたのである。この時の変化を遠藤は、後日こう振り返っている。

「出られない時期もしっかり練習からやっていくしかないと思ってやっていました。実際に出場できるタイミングがきて、たまたまダービーでしたけど、自分の中では『いつもどおりやる』っていうことだけを心がけてやりました。ああいう風にチャンスがくるのを掴む準備をずっと出られない時間にやっていたからこそ掴めたと思います」

 腐ることなく自分にベクトルを向け、成長と向き合う大切さがそこにはあった。

 いまやアンカーとしてのイメージが定着している遠藤。その役割における評価が高いのは周知の事実だ。一方で彼は様々なポジションでプレーできるユーティリティ性も極めて高い。シュツットガルト時代も当初はCBで起用される試合も少なくなかった。

 ドイツ人敏腕スカウトとして名を馳せるスベン・ミスリンタートSD(当時)が、「センターバックでのプレーにも私は強烈な印象を受けているんだよ。それこそ日本代表での彼のポジションは『そこが適任なのでは?』と思うほど良かった。ワタルがどれほど価値のある選手かはもはや考えるまでもない」と称賛するほどのクオリティだった。

 遠藤は試合展開や相手に応じて、3バックや4バックのCB、試合途中からボランチやアンカーと多種多様なタスクを担っていた。その仕事ぶりを本人もポジティブに捉えていた。

「僕はありがたいことにいろんな監督からいろんなポジションで使ってもらっている経験があるし、いろんなポジションで使ってくれることによって、僕のプレーの幅も広がる。監督にオプションとしていろいろと持ってもらえればいいと思う」

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