安美錦が現役引退を表明『平成の大横綱に引導を渡した男』、主な横綱の現役最後の相手一覧
貴乃花から金星→引退
苦い経験がある。いまから16年前。03年初場所、24歳・安美錦が、初顔合わせの横綱貴乃花から金星を挙げた。翌日、貴乃花は引退を発表。日本中が大騒動になった。
「大変なことをしちゃったと。(横綱の最後の相手で)勝った人はみんな強くなったと言われて…。勝手にプレッシャーを感じていた。自分で自分のことを縛っていた」
以来『平成の大横綱に引導を渡した男』という事実に、長く苦しんできた。呪縛から解放されたのは、つい数年前。貴乃花親方がテレビ番組で、現役最後の相撲を「あの一番は(自分が)ケガをしていてもしていなくても同じ結果だった」と話していたのを見て、安美錦はようやく肩の荷が下りたという。
引退を発表した日、安美錦はこう話した。
「最後の相手が竜虎でよかった。投げたと思ったけど、投げきれない。向こうの方が上だった。いい若手とできてよかった。自分も大横綱(貴乃花)からバトンをもらって、若い人にバトンタッチできて終われたのはうれしい」
『重い荷物』は背負わなくていい。後輩の心を救う最後の務めも果たし、思い残すことなく土俵を去った。
◆主な横綱の現役最後の相手【→その後の最高位】
稀勢の里(2019年)前頭1・栃煌山【→関脇】
日馬富士(2017年)前頭1・貴景勝【→大関】
朝青龍(2010年)横綱・白鵬
武蔵丸(2003年)前頭2・土佐ノ海【→関脇】
貴乃花(2003年)前頭4・安美錦【→関脇】
三代目若乃花(2000年)関脇・栃東【→大関】
※曙(2000年)横綱・武蔵丸
旭富士(1992年)前頭1・若花田【→横綱】
北勝海(1992年)前頭3・久島海【→前頭1】
大乃国(1991年)小結・安芸ノ島【→関脇】
千代の富士(1991年)小結・貴闘力【→関脇】
双羽黒(1987年)横綱・千代の富士
隆の里(1986年)関脇・保志【→横綱】
※勝敗は曙が武蔵丸に勝った以外、引退した横綱が黒星
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]