山本由伸はどれだけの成績を出せば「成功」か MLB識者に問う”投手史上最高額”の右腕に求められる結果
目を光らせる米メディアも同じ見解だった。ドジャース担当で『ロサンゼルス・タイムズ』紙のジャック・ハリス記者は「大きな疑問は、どれだけ投げられるか。後半戦でも中4日で投げていくのか。25~30試合を投げられれば、自然と12~13勝はできると思う」と持論を明かした。確かに、ベッツ、フリーマンに加え、大谷を擁するドジャース打線があれば、打線の援護が見込める。ある程度、失点が続いたとしても、それをカバーしてくれる強力打線があれば、2ケタ勝利は自然と近づいてくるだろう。
ドジャースで活躍した過去の日本人の先発投手で言えば、野茂英雄が13勝(28試合)、石井一久が14勝(28試合)、前田健太が16勝(32試合)と、いずれも1年目に好結果を残している。契約額を考慮し、それと同等、あるいはそれ以上が求められるとすれば、登板数は必然的に30試合前後が必要となってくる。
山本は今キャンプ3日目に、メディア対応を行い、意気込みを語った。「まだ数字の部分はまったく分からないですけど、とにかく精いっぱい投げて、ワールドチャンピオンになることに貢献できたらうれしいです」。質疑応答の中には、新人王についての問いもあった。「とにかく、シーズンに集中してやっていけたら。いい結果につながればいいかなと思います」。
異国の新しい環境で、適応すべきことは山ほどある。大谷らのサポートがあるとはいえ、慣れるまでには時間を要する。野球のパフォーマンス以外でも適応した上で、162試合の長丁場、さらにポストシーズンを戦っていく体力をどう養うか。まず、30試合前後の登板を果たせれば、山本の史上最高額の契約に懐疑的な声を黙らせることができるかもしれない。
[文:斎藤庸裕]
【著者プロフィール】
ロサンゼルス在住のスポーツライター。慶應義塾大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。プロ野球担当記者としてロッテ、巨人、楽天の3球団を取材した。退社後、単身で渡米し、17年にサンディエゴ州立大学で「スポーツMBAプログラム」の修士課程を修了してMBA取得。フリーランスの記者として2018年からMLBの取材を行う。著書に『大谷翔平語録』(宝島社)、『大谷翔平~偉業への軌跡~【永久保存版】 歴史を動かした真の二刀流』(あさ出版)。
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