「厳しく言えば能力で抑えてるだけ」大谷翔平が104年ぶり偉業を逃した要因は?”日本一の投手コーチ”佐藤義則が徹底分析!「遊び球がないので幅がない」
大谷がこの日投げた99球のうち、実に61球がスライダーだった。(C)Getty Images
エンゼルスの大谷翔平は現地8月3日(日本時間4日)、本拠地でのアスレチックス戦に先発登板。5回2/3で99球を投げ、7奪三振3失点で降板した。チームは1-3で敗れ、またも1918年ベーブ・ルース以来、104年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打の偉業達成はならなかった。この日のピッチングは、エキスパートの目にどう映ったのか。田中将大やダルビッシュ有らを育て、「日本一の投手コーチ」と称された佐藤義則氏に、大谷の投球内容を分析してもらった。
【動画】大谷翔平投手 / エンゼルス vs アスレチックス 8月4日 佐藤義則のワンポイント解説
またもや104年ぶりの偉業達成はお預けになったが、チームが点数を取れないから仕方がない。大谷のピッチングについて言えば、立ち上がりは良かったが、全体的な内容としてはスライダーが多いのが気になった。確かに大谷のスライダーは素晴らしい球だが、それに少し頼り過ぎている印象がある。ストライクを取るのもスライダー、追い込んでからもスライダーと一辺倒。だから、最終的に甘く入ったスライダーを打たれてしまった。
ピッチングというのは、それでは長く持たない。いろんなボールを織り混ぜながらイニングを消化していかないと、いずれ相手打者に捕まる。大谷はすべての場面で勝負に行っているような感じで投げているし、遊び球がないので幅のないピッチングになっている。
5回まではスライダーでうまく抑えられていたが、やはり3打席目の対戦になってくると甘い球は打たれる。6回は抜けたボールが多かったので危ないなと思っていたら、ホームランを打たれた。あれだけスライダーを投げていれば、曲がり切らないボールが出てくるのも不思議ではない。
3球勝負ではなく、わざとボール投げる選択肢も持ったほうがいいと思う。スライダーで勝負したいのであれば、インコースに一球外すとか、アウトコースの真っすぐをボールにするとか、そういう組み立てにしないと配球がワンパターンになってしまう。
今日も1回から6回まで、緩急の”急”の部分だけで投げていて”緩”の部分がなかった。それだと1人だけなら抑えられるが、9人の打者はなかなか抑えられない。バッターによって投球内容を変えないと、打者全員が同じパターンで待てるので、どうしても打たれてしまう。厳しい言い方になるが、今の大谷は能力で抑えているだけ。調子が良い時はそれでいいが、悪い時にも抑えなければならないのがピッチャーだ。やはり配球には、工夫が必要だろう。
とはいえ、あれだけ援護がないのは同情もしたくなる。前回の登板でも、6回を2失点に抑え、11奪三振を記録したが、0-2で敗れている。今のエンゼルス打線は逆転を期待できるような雰囲気がないし、先行逃げ切りでないと厳しいか。打者陣が4点くらい取ってくれればいいのだが・・・。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】エンゼルス・大谷 「笑顔なき本塁打」豪快2発も漂う悲壮感 チーム解体で「切ない本音」とは
【関連記事】巨人・岡本和 「4番はく奪危機」 本人のためにもなるといわれる「理由」とは
【関連記事】原巨人 異例の「配置転換」が物議 コーチ陣が戦々恐々となる「舞台裏」