規定クリアまで「9イニング」に迫った大谷翔平のピッチングを日本一の投手コーチ佐藤義則氏が徹底分析!「”その日の良いボール”の見極めが必要」
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エンゼルスの大谷翔平は現地9月23日(日本時間24日)、敵地でのツインズ戦に先発し、5回0/3で100球を投げ、7奪三振3安打2失点に抑えて今季14勝目を挙げた。4回には日本投手4人目のシーズン200奪三振に到達した大谷のピッチングは、エキスパートの目にどう映ったのか。田中将大やダルビッシュ有を育て、「日本一の投手コーチ」と称された佐藤義則氏に、大谷の投球内容を分析してもらった。
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強いボールを投げられていたが、簡単に言うと投げ急いでいるように見えた。早くアウトを取りたいという感覚があったのかもしれない。腕の振りが小さくなってスライダーが早く曲がりすぎるため、ストライクが入らずに四死球を7つも出してしまった。特に1回、2回にフォアボールを出している場面は、その傾向が強かった。ストレートは100マイル近くのスピードが出ていたので、もっと使っても良かったという気もする。
2回にアウトコースのストレートで9番打者を三振に取ったシーンは、キャッチャーのミットが上に跳ね上がるくらいのスピンが効いた球を投げていた。今日の真っすぐだったら、空振りはもちろん、ファールも取れていただろう。縦横自在なスライダーが得意な分だけ、スライダーにこだわり過ぎてるところがあるかもしれないが、”その日の良いボール”を見極めながら投げた方がいい。
結局ヒット3本しか打たれていないのに、四死球を7個も出したせいで5回0/3を投げるのに100球も使ってしまった。球数も増えると、長いイニングを投げられずに交代になってしまうのが少し残念だ。
技術的にいえば、振りが小さく、正面を向くのが早かったのが気になった。こうした投げ方になると、変化球がいつもより早いタイミングで曲がり、ストライクゾーンになかなか行かない。上手くベースまで届いた球では三振を取れたが、早く曲がり過ぎるのでバッターが振ってくれない場面も多かった。見ている限り、雨の影響はそれほどピッチングに影響がなかったように感じたので、なおさら”投げる間”がなかったのは気になった。