衝撃だった“電撃引退”の舞台裏…イブラヒモビッチはなぜ去るのか「今日は雨が降っていた。『神様も悲しんでいるんだな』と」
飛躍を遂げた久保は、来季もレアル・ソシエダでプレーするようだ(C)Getty Images
レジェンドがスパイクを壁にかける。現地6月4日に行なわれたヴェローナとのセリエA最終節で、ミランに所属するスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチが現役引退を発表した。
試合前の段階で自ら今季限りでの退団を宣言していたイブラヒモビッチ。本拠地サン・シーロで行なわれたこの日の最終節では、「退団セレモニー」が実施されるとされていた。そうした雰囲気のなかで、大勢のミラニスタ(熱心なミランファンの愛称)を前にして、偉大なベテランが口にしたのは、「引退」の二文字だった。
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現在41歳。身体はボロボロだった。今季は開幕前に「俺は過去6か月もACL(前十字靭帯)なしでプレーしていた」と前十字靭帯と外側靭帯の修復および半月板の修復という大手術を実施。長期間のリハビリを経て今年2月26日のアタランタ(セリエA第24節)で復帰を果たすも、4月にハムストリングを痛めて再び離脱。その後にふくらはぎも痛めたために、ピッチに戻る機会は得られなかった。
それでもキャリアは続けるとみられていた状況で「引退のことは誰にも言わなかった」というイブラヒモビッチは、「両手を広げて俺を受け入れてくれた。自宅にいるようにな気分にさせてくれた」と語るミラニスタの声援を受けて涙した。エモーショナルな気持ちになったのだろう。
そして、セレモニー後の会見で彼は、次のように引退を決意した舞台裏を明かした。
「今日は目覚めた時から雨が降っていた。『そうか……神様も悲しんでいるんだな』と俺は呟いたよ。(引退は)家族も知らなかったんだ。だから感情が複雑で、今日はここまでゾンビのような気分だったね。
今日は喋ってもないし、ジョークすらも言ってない。3か月前は引退を考えるとパニックになったぐらいだったが、今日はそれを受け入れて晴れやかな気分だ。もちろん、ちょっとは悲しいけどな」
「引退はこの10日間で決めた。もう十分だろうと。ピッチで最後までやり遂げることが出来なかったが、俺は受け入れた」