【医師に相談】変形性膝関節症とは何ですか?

タグ: , 2024/11/12

[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]

Q:ひざが痛くて病院でレントゲンを撮ったら、骨と骨の隙間が狭くなっているといわれました。

変形性膝関節症という状態になっているかもしれません。

関節には骨と骨の間に軟骨があるのが普通です。軟骨があることで骨同士がぶつかってしまうのを防いでいます。ところが年齢とともに関節に炎症が起きると軟骨がすり減ってしまいます。すると骨に負担がかかり、骨の形も綺麗ではなくなり、ボコボコしたいびつに変形するため、変形性関節症と言います。

軽度の変形性膝関節症患者のレントゲン

軽度の変形性膝関節症患者のMRI

変形の度合いによって治療方法も異なります。早期の状態であれば進行を予防することもできます。一度専門の医療機関を受診することをお勧めします。

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Q:変形性膝関節症にはどのような症状がありますか?

痛くて正座ができない、階段を降りるときに痛い、椅子から立ち上がる時に痛みが走るなどの症状が代表的です。また炎症が強いときには夜寝ているときもチクチク、ズキズキと痛いという場合もあります。骨の変形が激しい場合、歩くたびに骨がぶつかり合って痛むようになります。

早期であれば予防もできますから、ひざの痛みが長引いているようでしたら一度専門の医療機関を受診することをお勧めします。

■初期の症状
変形性膝関節症の初期では、レントゲンでは「ほとんど異常なし」と言われる状態です。レントゲンでは異常なしと言われますが、時として非常に強い痛みが出ることがあり得ます。
初期のころの代表的な症状は以下のようなものです。

・なんとなく動かしにくい
・腫れぼったい
・正座はなんとかできるがすると痛くなる
・ズキズキ、刺すような、重だるい、などの痛み
・階段を降りるときに痛い(時として非常に強い痛み)
・平地は大丈夫だが階段の昇り降りが痛い
・椅子から立ち上がるときに痛い。

この、レントゲンでは異常が見られない初期のうちに、炎症に伴う異常な血管が増えているのでこの段階で異常な血管を減らし、将来の変形を防ぐことが得策です。

■進行期の症状
進行期の場合はレントゲンで関節の隙間が狭くなる変化が出てきます。また、すり減った軟骨の下にある骨は、レントゲンでの「白さ」が増して、骨にストレスがかかっていることが見て取れるようになります。

この時期の症状は
・刺すように痛い、ズキズキ痛い、チクチク痛い
・痛くて正座ができない
・階段の昇り降りが非常に痛い
・寝ている時も痛い、寝返りで反対の膝があたると痛い
・熱をもった感じがある、お水がたまって抜いてもすぐたまる、強く腫れる

■末期の症状
末期は、レントゲンでは「かなりひどい変形がある」と指摘される状態です。

進行期の症状にくわえて、
・足がO脚になる
・平地を歩くだけで痛い
・長い距離が歩けない
・体重がかかるたびに痛い
などの症状が出現します。

Q:変形性膝関節症の病態と原因は何ですか?

進むスピードも時期や年齢によって一定ではないことが分かっており、中年になって関節に水がたまったり腫れたりすると、非常に速いスピードですり減りが一気に進むこともわかってきました。

これらのことから、今では主に2つのことが関節の変形の原因として考えられています。

■過去の靭帯や半月板のけが
ひとつ目は、昔のひざの損傷が、時間が経って悪い影響を与えることです。特に半月板(はんげつばん)や前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)は膝の重要な要素ですが、このような靭帯や半月板に過去の損傷がある人は、普段から膝に不自然なストレスがかかりやすくなり、その結果、膝関節の軟骨が異常に速いペースですり減り、骨の変形が進むことがわかっています。

■更年期によって生じる炎症
もう一つは中年以降に生じやすい「炎症」の存在です。40代50代になると関節の滑膜(かつまく)が炎症をおこします。特に女性の更年期前後にその傾向は顕著になります。
炎症が起きた滑膜から軟骨を壊してしまうサイトカインという物質がたくさん放出されることで軟骨が急ピッチにすり減ってしまいその結果、骨の変形が進むことがわかってきました。そうすると、ひざの骨にさらに余計な負担がかかり、2年~3年という比較的短い期間で関節が変形していくことがもう一つの病態として認識されてきました。

まとめると変形性膝関節症の病態は、単純な経年劣化のすり減りはなく
① 過去の靭帯や半月板のけが
② 更年期によって生じる炎症
のふたつが変形を加速させていることが分かっています。

Q:病院に行ったところ「レントゲンではそれほど悪くない」といわれたのですが、膝はとても痛いです。どうしてなのでしょうか?

レントゲン検査での骨の変形と、痛みの強さは、必ずしも一致するわけではありません。つまりレントゲンではそこまで変形していないのに強く痛い、という人もいれば、レントゲンでそこそこ変形しているのに痛くない、という方もいます。

実は変形性膝関節症の痛みは、骨の変形だけが原因ではありません。骨の変形はかなり重度になると(ひどい変形)痛みを発生させますが、重度になる手前の段階では痛みの原因にはならないのです。では骨の変形以外で何が痛みの原因になっているのでしょうか?

一つの原因は炎症です。膝の関節の周りに炎症が起きていると痛みの原因になります。また、最近では関節のまわりに異常な血管がたくさんできて、痛みの原因になることがわかってきました。

正常な膝と、変形性膝関節症の膝

Q:変形性膝関節症と言われました。これ以上変形が進まないような予防法はありますか?

あります。

変形性膝関節症はどうして変形してしまうかというと、いくつかの原因があげられます。そのうちの一つは体重です。やはり体重が重いほうが膝に負担がかかり、軟骨がすり減ってしまう。これは簡単にイメージできますね。

しかし体重だけではありません。実はカロリーの高い食事自体が(体重は重くなくても)身体に炎症を起こし、炎症によって痛みや変形が進んでしまうことが知られています。基本的に人間の体は炭水化物や脂質などでカロリーを取りすぎると炎症が起きやすくなります。そして炎症が起きた時には、「炎症性サイトカイン」という物質が放出されます。複雑そうな名前ですが、体の組織を傷つけてしまう物質と理解してください。

ひざに炎症が起きると、膝の軟骨が炎症性サイトカインによって傷つけられ、すり減っていきます。ですから炎症を起こさないことが重要です。

また、すでに炎症が起きているなら、速やかに炎症を抑えることも重要です。炎症が起きると膝に痛みが生じますから、痛みがあるということは炎症が起きているとも言えます。炎症を抑える治療をすると痛みの改善にもなりますし、将来のさらなる変形の進行への予防にもなるのです。

また、別の予防策としては、15秒指圧というものがあります。やり方は後述する「自分でできる対処法」のところで詳しく述べます。

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