【医師に相談】骨盤内うっ血症候群とはどのような病気ですか?
Q:骨盤うっ血症候群の症状とは?
骨盤うっ血症候群の主な症状は、3から6カ月以上続く慢性の下腹部痛です。この痛みは、多くの場合、妊娠中または妊娠後に初めて起こります。生理ではないのに下腹部が痛くなり、長時間の歩行や立位、座位などで悪化し、仰向けに横になることで改善することが特徴です。また、性交時痛の原因にもなります。
痛みの性質としては、重い痛みや疼くような痛みとして感じられることが多いです。通常、痛みが生じるのは片側の下腹だけで、左側が多いとされています。時には、両下腹に痛みを感じることもあります。また痛みは夕方ごろにかけて悪化することが多いです。
Q:骨盤内うっ血症候群はどのように診断されるのですか?
骨盤内うっ血症候群(PCS)を診断には、超音波、CTやMRI、および静脈造影が用いられます。造影剤を用いたCTやMRIは他の疾患の有無を調べることもできるため有用です。
CTやMRIでPCSが疑われた場合に、静脈造影検査という特殊な検査を行ないます。この検査方法がPCSを確定させるゴールデンスタンダードです。血管造影で実際に卵巣静脈が逆流しているかどうかを確認し、確定診断となります。
Q:骨盤内うっ血症候群はどのように治療するのですか?
骨盤内うっ血症候群(PCS)の治療には、大きく分けてホルモン療法、外科的手術、血管内治療があります。保険診療で受けていただけます。
ホルモン療法は、PCSの症状が閉経後に改善することが多いことから開始されました。ゴナドトロピン放出ホルモンと呼ばれるもの(商品名:レルミナ)がありますが、効果が得られない人もいることが知られています。外科的な手術としては、以前は卵巣の摘出など行なわれていましたが、改善が乏しく今は施行されていません。内視鏡を用いた卵巣静脈結紮術もありますが、全身麻酔であり身体への負担が大きいです。
血管内治療とは、全身麻酔ではなく局所麻酔でできる日帰り治療です。この治療は、足の付け根の静脈から非常に細いチューブ(カテーテルと呼びます)を挿入し、それを原因となっている卵巣静脈まで進めて、逆流してしまっている問題の部位を閉じる方法です。痛みはほとんどなく、また安全に行なうことができ、メスを入れる大がかりな手術ではないため日帰りで行なうことができます。
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
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