【医師に相談】シーバー病(セーバー病)とはどのような病気ですか?

タグ: , 2025/10/7

Q:シーバー病はどうやって治療しますか?

シーバー病の治療の基本は「保存療法」です。早く治すための最も重要なポイントは、かかとへの負担を減らすことです。

一般的な保存療法としては、以下の方法が挙げられます:

安静(スポーツ活動の制限):
痛みの原因となっているスポーツを一時的に休むか、練習量を減らしてかかとを休ませることが最も重要です。

アイシング:
運動後や痛みが強いときに、氷のうなどでかかとを15分程度冷やします。炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。

ストレッチ:
かかとへの負担を減らすために、硬くなったふくらはぎ(アキレス腱)や足の裏(足底腱膜)の筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチが非常に効果的です。お風呂上がりなど、身体が温まっているときに行うと良いでしょう。

インソール(足底挿板):
かかとへの衝撃を和らげるクッション性の高いインソールや、ヒールカップ(かかとを安定させる装具)を使用することで、歩行時や運動時の痛みを軽減できる場合があります。

湿布・塗り薬:
痛みが強い場合は、消炎鎮痛効果のある湿布や塗り薬を使用することもあります。

これらの保存療法を適切に行うことで、多くは数週間から数ヶ月で改善に向かいます。

Q:シーバー病の予防法はありますか?

運動前後のストレッチを習慣にする:
ふくらはぎやアキレス腱、足裏の柔軟性を高めることが大切です。筋肉が硬いと、かかとの骨を強く引っ張ってしまいます。

ふくらはぎのストレッチ(壁押し):
壁に手をつき、伸ばしたい足を後ろに引き、かかとを床につけたままゆっくり体重を前にかけ、ふくらはぎが伸びるのを感じながら30秒キープします。これを左右3セット行いましょう。

ふくらはぎのストレッチ(壁押し)

足裏のストレッチ:
タオルギャザー(足の指でタオルをたぐり寄せる)や、ゴルフボール・テニスボール、ご家庭にあるラップの芯を利用し、足裏で転がしてほぐす方法があります。運動前だけでなく、お風呂上がりもしくは起床時に行うとより効果的です。

タオルの場合

ラップの芯の場合

靴とインソールの工夫:
かかとへの衝撃を和らげるために、適切な靴選びが重要です。日常履きの靴やスポーツシューズは、かかと部分に十分なクッション性があるものを選びましょう。サイズが合わない靴や、かかとがゆるい靴は、足が靴の中で動き、余計な負担がかかるため避けましょう。
かかとの衝撃を吸収する素材(ソルボセインなど)を使ったスポーツ用のインソール(中敷き)や、かかとを安定させるヒールカップの活用も非常に有効です。スポーツ用品店や整形外科で相談してみることをお勧めします。

運動量のコントロールと十分な休養:
熱心な練習も大切ですが、「やりすぎ」はシーバー病の主な原因である「過度な負担(オーバーユース)」につながります。痛みが少しでもある場合は、勇気をもって練習を休むか、かかとに負担のかからないメニュー(例:スイミング)に切り替える判断が必要です。週に1〜2日はスポーツをしない休息日を設け、体を休ませましょう。

バランスの取れた食事と十分な睡眠:
骨や筋肉が成長する時期には、体を作るための栄養と休養が不可欠です。カルシウム(乳製品、小魚)、タンパク質(肉、魚、大豆製品)、ビタミンD(きのこ類、魚)などをバランス良く摂取し、丈夫な骨と筋肉を作りましょう。また成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、夜更かしを避け、十分な睡眠時間を確保することが体の回復と成長を助けます。

かかとの痛みのサインを見逃さない:
かかとが痛いと感じるだけでなく、かかとをかばって歩き方がおかしくなったり、痛みを我慢して運動を続けると、症状が悪化したり回復が長引いたりする可能性があります。

これらの予防策を日常生活に取り入れることで、シーバー病のリスクを減らし、安心してスポーツを楽しめる環境を整えることができます。

Q:子どものかかとの痛みがなかなか治りません。何か根本的な治療法はありますか?

かかとの痛みが長引き、なかなか治らない。ストレッチやインソールなどの保存療法を続けても、数ヶ月以上にわたって改善が見られず、思うようにスポーツに復帰できない。
このような難治性のシーバー病(踵骨骨端症)に悩むお子さんも少なくありません。

最近の研究では、このような長引く痛みの背景に「モヤモヤ血管(異常な新生血管)」の存在が関係していることが分かってきました。モヤモヤ血管は、本来必要のない異常な血管で、痛みを感じる神経とともに増殖するため、慢性的でしつこい痛みを引き起こします。

このモヤモヤ血管に対して、「動注治療」という新しいアプローチが開発されました。動注治療は、点滴で使われる極細のカテーテル(チューブ)を用い、足首の動脈から薬を流して、モヤモヤ血管をピンポイントで治療する方法です。数分で終了し、身体への負担も少ないのが特徴です。

痛みの根本原因であるモヤモヤ血管を直接治療することで、従来の保存療法では難しかった根本的な痛みの改善と早期のスポーツ復帰が期待できます。

<参考文献・出典>
本記事は以下の医学的文献・専門情報を参考に作成しています。
・Achar S, Yamanaka J. Apophysitis and Osteochondrosis: Common Causes of Pain in Growing Bones. Am Fam Physician. 2019;99(10):610-618.
・Fares MY, et al. Sever’s Disease of the Pediatric Population: Clinical, Pathologic, and Therapeutic Considerations. Clin Med Res. 2021;19(3):132-137.
・Uvelli K, Neher J. Treatment for Calcaneal Apophysitis (Sever’s Disease). Am Fam Physician. 2017;96(2):126-127.
・Ramponi DR, Baker C. Sever’s Disease (Calcaneal Apophysitis). Adv Emerg Nurs J. 2019;41(1):56–61.
・OrthoInfo(American Academy of Orthopaedic Surgeons): Sever’s Disease(Heel Pain)
・StatPearls: Smith JM, Varacallo M. Sever Disease (Calcaneal Apophysitis). [Updated 2024]
・奥野祐次. MSK Embolization: From the Established to the Emerging. Endovascular Today. 2025年2月号





[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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