高齢者の食欲回復に効果的な季節とは
[文:健康わくわくサイト 人生100年時代に役立つトレヴィアをお届けします]
天高く馬肥ゆる秋
3大栄養素である糖質(炭水化物),アミノ酸(たんぱく質),脂質(動物性と植物性脂質)の他に、ビタミンとミネラルを加えて5大栄養素を摂取することがたいせつです。
人間は高齢になっても、日常生活の中で楽しみとして残る行為は食事だと思います。そもそも食欲という、食べたいと思う欲望がなければ箸が進まないし口を開けることも減ってしまいます。みなさんは1回の食事にどれくらいの時間を掛けますか?厚生労働省のホームページでは、1日最低1回はきちんとした食事を、2人以上で30分以上かけて取ることを勧めています。(※1)今は新型コロナ禍で食事中の会話を控えることが推奨されているので、食事の楽しみ方も工夫が必要です。
介護施設でお世話している「バームさん」(仮称。バームクーヘンが好きなおばあさんなので)がいらっしゃいます。細かな病状は分かりませんが認知症も進んでいます。食事の量は安定しません。介護スタッフも心配ごとのひとつです。私はご自宅にお迎えの際、必ず良くも悪くも変わったことがないか?を聴くようにしています。先日バームさんをお迎えに行った時、ご家族が「よく食べてくれるようになりました!」と微笑んでいらっしゃいました。その日その日の体調によって、食べたり食べなかったりが日常茶飯事です。けれど食事してくれたとは、生きる上で一番たいせつな栄養を摂ったことと、食欲という基本的な欲の表れを確認できたのです。ご家族もさぞかしホッと安心されたと思います。
健康な人でさえ、冷房が効いた部屋でも夏場は食欲が落ち気味になります。ここ最近はめっきりと秋めいて来ました。空の様子や吹く風が爽快で穏やかさを感じます。むかしから「食欲の秋」と言い伝えられているのは、気候によるストレスが軽減されて食欲が回復~増進するためなのかも知れません。残念なことにご高齢の方々は新型コロナが心配で、以前より季節の移り変わりを肌で感じることが減っています。
むかしちょうどこの時期に友人と交わした会話を憶えています。「最近食っても食っても腹減るんだよなぁ。」「それって冬に備えるからだを作るためなんだよ。冬の寒さから身を守るために、脂肪を身に付なければならない。もともと誰でも持っている防御の本能が、食欲を上げるんだってさ。」
確かに冬眠する熊やイノシシは、実りの秋を満喫するように木の実などをよく食べてふくよかになります。