湯上り後の保湿だけでは不十分!生涯最大のお肌の乾燥期から赤ちゃんの肌を守る新常識 “うる肌洗い”のスキンケア
実は、沐浴・入浴中から肌のうるおい成分は失われている?
■入浴中から肌のうるおい成分は失われ、洗浄前後で肌の水分量が14%減少している。
ピジョン株式会社の中央研究所は、沐浴・入浴でどの程度肌の水分が蒸散し、水分量が減少するのかを調査すべく、生後3~7ヵ月の赤ちゃん11名に対してボディソープを使用して腕の洗浄を行い、洗浄前・洗浄直後・洗浄の15分後にそれぞれ「肌表面の水分の蒸散量」と「肌の水分量」を測定しました。
その結果、肌表面の水分の蒸散量は洗浄前と比べて、洗浄直後に約6.7倍増加していることがわかりました。また、洗浄前と洗浄15分後の赤ちゃんの肌の水分量を比較すると、平均で14%減少しました。
■肌の保湿成分「セラミド」が流出したことにより水分を繋ぎとめる力が弱まってしまう。
セラミドは角層細胞どうしのすき間を満たし、肌内部の水分を繋ぎとめている肌の保湿成分です。肌を外部刺激から守る「バリア機能」をきちんと働かせるための主役となる成分で、十分なセラミドで満たされた肌はバリア機能の働きが高く、外部刺激で肌荒れしにくい状態です。つまり、肌の保湿において「どれだけ多くのセラミドを維持できるのか」が重要となります。
皮膚科医の日比野 佐和子さんは、次のように語っています。「沐浴・入浴中は肌がうるおっているように見えますが、肌の内側では、うるおいに不可欠なセラミドが流出し、乾燥が始まっています。皮膚表面にある角層は、沐浴・入浴中に水分を含んで飽和状態(水分を最大限含んだ状態)になり、角層細胞の間隔が広がることで、肌のうるおいを保つセラミドなどの天然保湿成分が流れ出ているのです。」
■セラミドを補いながら沐浴・入浴することで、肌の水分量減少を抑えて、うるおいを保持できる。
また日比野さんは次のように語っています。「セラミドが流出すると、繋ぎとめられていた水分が肌表面から蒸散して乾燥が進みます。そうならないために、セラミドを補いながら洗ってあげることが大切。セラミドは肌の構造の中でも一番外側の角質層で活躍する成分。セラミド入りのボディソープなどで外側から洗ってあげることで、角質層に届けることができ、乾燥を防ぐことに繋がります。」
日比野 佐和子(皮膚科医)
医学博士
医療法人社団康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾SAWAKO CLINIC x YS統括院長
大阪大学大学院医学系研究科未来医療学寄附講座 特任准教授
近畿大学医学部奈良病院皮膚科非常勤医師
皮膚科医 日比野佐和子先生が推奨:肌のバリア機能を保つスキンケアの新常識“うる肌洗い” 3つのポイント
<ポイント①>セラミド配合のボディソープを選ぶ
沐浴・入浴によるセラミドの流出で、水分はどんどん蒸散してしまうので、沐浴・入浴の最中からセラミドを含んだボディソープでうるおいを補うことが重要です。
<ポイント②>「弱酸性」「低刺激」のボディソープがおすすめ
赤ちゃんの肌のバリア機能を維持するためには、肌を弱酸性に保つことが重要です。アルカリ性のソープは泡立ちがよく洗浄力も高い一方で、汚れ以外にセラミドなどのうるおい成分も洗い流してしまい、洗いすぎに繋がりやすくなります。未熟な赤ちゃんの肌には刺激を与えすぎない「弱酸性」「低刺激」なものを選びましょう。
<ポイント③> こすらず泡で包み込むようにやさしく洗い上げる
汚れを落としたいと思うあまり、強くこすったりしてしまうのはNG。泡で包み込むように優しく洗い上げましょう。“洗いすぎない”やさしい沐浴・入浴がおすすめです。
肌のバリア機能を維持する「弱酸性」「低刺激」のソープで、“洗いすぎない”やさしい沐浴・入浴をしてみてはいかがでしょうか。
<参考文献 >
(1)玉置邦彦 . 特別巻1新生児・小児・高齢者の皮膚疾患(最新皮膚科学大系) . 中山書店 . 2004
(2)塩原哲夫 . 医学のあゆみ 228巻1号 . 医歯薬出版株式会社 . 2009
(3)芋川玄爾 . 最新皮膚科学大系(玉置邦彦総編集)第7 巻「角化異常性疾患」. 中山書店 . 2001
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。